G-Summit Tokyo 2019 Digest Report 3

デジタルマーケティングを武器に、「攻め」のコンタクトセンターになれ!

コンタクトセンターとは、顧客が商品やサービスを購入する前のアドバイス、購入した後のサポートなどが主な役割であり、これまでマーケティング機能はほとんど存在しませんでした。しかしながら、例えば、顧客からの問い合わせ方法は従来の電話やメールだけでなく、チャット、TwitterなどのSNSが急増しています。こうしたデジタル化に対応するためには、企業のマーケティング部門とコンタクトセンター部門が分断したままでは、リアルタイムで顧客のニーズに応えることは難しいでしょう。

 

7月11日にジェネシス・ジャパンが東京・虎ノ門ヒルズフォーラムで開催した年次カンファレンス「G-Summit Tokyo 2019」では、コンタクトセンターを持つ企業のそうした課題認識に対して、さまざまな意見が飛び交いました。

 

パネルディスカッション「デジタルマーケティングとコンタクトセンターの融合」では、人材派遣会社のUTグループ、介護関連サービスを提供するエス・エム・エス、伊藤忠テクノソリューションズが登壇し、実践事例などを紹介。モデレーターは、ジェネシス・ジャパンの水野美穂が担当しました。

0070nic 4144
  • 顧客はSNSでのやり取りを求めている

 

このセッションでは、いくつかの質問がモデレーターから登壇者に投げ掛けられました。まずは「デジタルマーケティングとコンタクトセンターの融合がどのくらい進んでいるのか」です。

 

UTグループは、顧客と正しいコミュニケーションを取るべく、コンタクトセンターにデジタル機能を実装しました。例えば、現在はLINEで仕事探しから面接までを完結するようなワークフローになっているといいます。

 

同社が変革した理由について、執行役員 グループ採用部門 副部門長の大森勇輝氏は、「転職活動などで仕事を探すチャネルはたくさんあるものの、いざ応募しようとすると、いまだに多くの企業で面接予約は電話やメールを使っています。これでは時代にそぐわないと感じました」と説明します。

 

こうしたコンタクトセンターの閉鎖性を打破するにはテクノロジーの力が有効だと判断しました。そこでジェネシスのクラウド型コンタクトセンターサービス「PureCloud」を導入し、オムニチャネルのコンタクトセンターを構築しました。

 

では、具体的にどのようにプロジェクトを進めたのでしょうか。大森氏によると、何よりもまずは社員が納得するように、何のためにやるのかという目的を明確化し、共有しました。そしてその目的に、顧客である求職者が求めているものに応えること、コンタクトセンターの業務が効率化してオペレーターや従業員が楽になること、事業成長を実現することという3つを掲げました。こうすることでプロジェクトが円滑に運んだそうです。

 

エス・エム・エスでは、デジタルマーケティングとコンタクトセンターの融合よりも先に、顧客情報の統合がありました。セールスからサポートまでを一気通貫でシステム管理することで、顧客の行動ログを分析、可視化し、彼らが何に興味を持っているのかを事前に把握したいと考えたのです。それを実現するために「PureCloud」を導入しました。

 

「まずは顧客データを統合し、その上でデジタルマーケティングを行う目的は何なのかを見据えました」と、介護経営支援事業部 カスタマーサポートグループ グループ長の光山勝之氏は振り返ります。

 

そして現在、Web接客ツールをコンタクトセンターからカスタマーサポートに引き渡したことで、現場では顧客の課題を解決したいという意識が強まったそうです。「電話だけではなく、デジタルツールを使ってこうしたい、これはできないのかといった改善提案が増えました。本社とカスタマーサポートとのディスカッションが活発になったのです」と光山氏は胸を張ります。

0076nic 4205
  • 利益を生み出すコンタクトセンターに!

 

改革による具体的な効果はどうでしょうか。UTグループはPureCloudの活用によって、従業員の業務効率化を図り、人件費が下がりました。加えて、これまで面談予約は100%電話だったのが、今は約3割がLINEになりました。さらにLINEで面接した人の15%が採用までつながっているそうです。「まだ導入から半年しか経っていないのに大きな成果が生まれています。顧客が求めるものはどんどん変化していることを実感しますね」と大森氏は強調します。

 

エス・エム・エスでも同様に業務効率化は進んでいる手応えを感じています。光山氏によると、今後はカスタマーサポートを半自動化するとともに、カスタマーサポート部門でマーケッターを作りたいとのこと。デジタルマーケティングとコンタクトセンターの融合によって、社員の新たなキャリアプランを提示したいと意気込みます。

 

ジェネシスのビジネスパートナーとして、さまざまなユーザー企業のコンタクトセンター改革に携わる伊藤忠テクノソリューションズで、エンタープライズ第1本部 サービスビジネス技術第2部 カスタマーコラボレーションビジネス推進課 課長を務める堀田祐揮氏は、マーケティングの機能を実装することで、コンタクトセンターは「コストセンター」から「プロフィットセンター」に生まれ変われると訴えます。

 

「これまでコンタクトセンター部門とマーケティング部門は組織のカベに阻まれていて、お互いが無関心でした。しかし、組織間の連携によってコンタクトセンターのKPIが変わります。例えば、これまでは顧客と電話で話すことが1インシデントとして完結していましたが、デジタルシフトすると非連続的な対応が求められます。インシデントの考え方がまるで異なるので、KPIも再考しなければなりません。その結果、利益をいかに生み出すかを考えるようになるはずです」(堀田氏)

 

最後に、UTグループの大森氏は「デジタルマーケティングの活用によって、多くの企業はコンタクトセンターのあり方をもう一度考える良い機会。攻めのコンタクトセンターを作っていくべきではないでしょうか」と力を込めました。

0072nic 4163

●【講演動画の視聴】:

基調講演編

パネルディスカッション1

パネルディスカッション2

パネルディスカッション3

●【当日使用された閲覧可能な資料について】:以下よりダウンロードいただけます。

基調講演 『ジェネシスから始まるデジタル時代のCXとコンタクトセンター』  米ジェネシス社・クリストファー・コネリー

『ジェネシス・ソリューションアップデート』ジェネシス・ジャパン株式会社 三成茂 曾田潤

シェア: