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ビジネスの世界でカスタマーエクスペリエンス(CX)が叫ばれる中、顧客の接点となるコンタクトセンターでは、経営に対する貢献がよりいっそう求められています。スピーディーな顧客対応や、きめ細やかなサポートを実現する上で不可欠なのが、コンタクトセンターのクラウド化です。先行する企業ではどのようにしてクラウド化に踏み出したのでしょうか?
7月11日にジェネシス・ジャパンが東京・虎ノ門ヒルズフォーラムで開催した年次カンファレンス「G-Summit Tokyo 2019」では、ジェネシスのクラウドサービスの活用事例が紹介されました。
「クラウドコンタクトセンター、次の一手」と題したパネルディスカッションでは、大手保険会社のアクサ生命保険や、全国で約250教室を展開する学習塾の東京個別指導学院、ソニーのマーケティングおよびセールス業務をつかさどるソニーマーケティングの担当者が登壇し、クラウドに対する考え方などの議論を交わしました。モデレーターは、ジェネシス・ジャパン 第一営業本部 本部長のポール・リッチーが務めました。
冒頭、アクサ生命保険でアジャイルコーチ アジャイルオーケストラを担当するホマセル・グレゴワール氏は、テクノロジーが急激に進化する現代においても、同社の使命は変わらないと強調。現在、63の国・地域において1億500万人をサポートする同社のミッションは、顧客がより良い人生を送れるように寄り添うことだと言います。そんな同社は、ジェネシスのクラウド・コンタクトセンター・プラットフォーム「PureCloud」を導入して、約400席のコンタクトセンターでクラウドを活用しています。
数年前からアクサ生命保険のIT戦略は「クラウドファースト」を掲げていました。そうした中、PureCloud選定の理由について、シニアプロダクトオーナー コンタクトマネジメント&SFDC サービシング ITデリバリー本部の水川貴雄氏は「(Salesforce製品をはじめ)さまざまなシステムを連携させる上で、PureCloudはAPIでつなぎやすいことがポイントでした」と語ります。
ソニーマーケティングは、ソニーグループにおける一般顧客とのあらゆるタッチポイントを担っています。そのためオムニチャネル化が不可欠であり、現在は電話、メール、チャット、LINE、そしてコミュニティーサイトの5つで問い合わせ業務を行なっています。なお、チャットとLINEについては24時間でサポート対応しています。
同社は元々、プライベートクラウドを構築してコンタクトセンター業務に当たっていましたが、コスト高が課題でした。「変化が早い時代においては、テクノロジーは所有よりも利用していくべきだと考えました。もっと身軽になって、早いスピードでCXを高めていこうと考えたとき、パブリッククラウドがベストな選択でした」と、ビジネスオペレーション企画推進部 統括部長の徳田耕一氏はクラウド採用の理由を明かします。
東京個別指導学院は、まさにこれからクラウドを導入する1社です。同社のコンタクトセンターは、主に生徒の入塾の問い合わせに対応しています。約30席からなる専用のコールセンターを設け、入塾の受付は教室ではなくすべてここで行なっています。
コンタクトセンターのクラウド化に舵を切った経緯について、カスタマーリレーション部 部長の三好知彦氏はBCP(事業継続計画)を挙げます。同社では以前から問い合わせ業務が増え続けていて、エージェントの座席数不足が問題となっていました。ただし、新たにコンタクトセンターを作るのはコストがかかります。その一方で、会議室が空いているような教室が全国にいくつかあったので、そこを有効活用してコンタクトセンター業務ができないかと考えていました。少ない投資でそれを実現する選択肢はクラウドしかありませんでした。
そうした中、2018年夏に発生した西日本豪雨や大阪北部地震によってアウトソーシング先の業務がストップしてしまう経験をしました。「これはBCPの観点からもクラウドを加速した方がいい」と三好氏は判断し、即座にクラウド導入にこぎつけました。
システムのクラウド化はさまざまな利点があります。しかし、単に導入すればうまくいくといったものでは当然ありません。
グレゴワール氏は「クラウド移行でコストが浮くという話があります。ただ、そもそもなぜクラウドを使いたいかを明確にしなければ成功しないでしょう」と断言します。
アクサ生命保険では、競合他社と比べて優れたサービスを提供するには、もっとアジャイルな組織を作り、最初から最後まですべての業務がチーム内で完結するような自立型組織にしたいと考えていました。それを実現する上で、クラウドサービスを活用すればすぐにコンタクトセンターの新しい機能を実装できるようになるのです。「コストは大事ですが、例えば、働き方改革や組織の改革など、もっと別の目標を掲げることが大切だと思います」とグレゴワール氏は力を込めました。
ソニーマーケティングの徳田氏も続きます。
「当社ではもちろん経済的な側面も重視しました。ただ、クラウドは常に新しい機能を享受できるメリットがあり、ジェネシスはそのためのベストソリューションを持っているので、信頼してパートナーシップを組みました。運用や保守に手を入れないことで、コストも低く抑えられます。経済合理性は重要なのですが、それだけにとらわれてしまうと、先に進めません。顧客との重要なタッチポイントにおいてどんな価値を生み出したいのかを考えることが最優先です」
これから新たなクラウドプラットフォームを立ち上げる東京個別指導学院は、これによって独自のCXを作り上げたいと言います。
三好氏によると、それはすなわち、顧客視点だけでなく、従業員やシステム担当者にとってもエクスペリエンスであるということ。「最高の顧客体験、最高のカスタマーサービスを提供するためには、ユーザー、オペレーター自身が業務の利便性を高めることが不可欠です。それを実現するためのコンタクトセンターシステムを作り上げていきたいです」と三好氏は声を弾ませました。
ーレポート3へと続く
●【講演動画の視聴】:
●【当日使用された閲覧可能な資料について】:以下よりダウンロードいただけます。
基調講演 『ジェネシスから始まるデジタル時代のCXとコンタクトセンター』 米ジェネシス社・クリストファー・コネリー
『ジェネシス・ソリューションアップデート』ジェネシス・ジャパン株式会社 三成茂 曾田潤
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