私たちは、新世代の生成型 AI(人工知能)とAIエージェント によりもたらされる、ビジネスのあり方が大きく変わる転換点に立っています。これらのテクノロジーは、次世代の自動化、機能の広がり、最適化を可能にし、企業のカスタマーエクスペリエンス(CX)と従業員体験を新しいかたちへ変化させています。

AI ベースのエクスペリエンス・オーケストレーションは、以前はシステムやチャネル全体でを連携させる理想にすぎませんでしたが、現在では現実のものとなりつつあります。この記事では、この変革がどのように進展しているか、その将来の可能性も含めて考察し、エクスペリエンス・オーケストレーションの 6 段階のレベルを定義します。この成熟度モデルは、企業が現状を評価し、未来の方向性を見極め、AI を活用した成長戦略を構築するための基礎となるはずです。1.

目次

 

オーケストレーションとは

オーケストレーションとは、システム・人・データなどの要素を一元的に調整・連携させることを意味します。ビジネスにおけるオーケストレーションとは、顧客体験や業務プロセスを横断的に結びつけ、価値を最大化する仕組みです。「統合管理」「全体最適化」と言い換えることも可能です。

エクスペリエンス・オーケストレーション目的は、次の2つ

  1. 運用コストの削減。 
  2. 長期的な成長のための顧客ロイヤルティーの向上。

企業は、運用・業務効率を高めながら、顧客と従業員の双方にとって価値ある体験を提供することができます。つまり、適切に AI を活用したエクスペリエンス・オーケストレーション戦略があれば、効率化と高品質な体験の両立できます。

オーケストレーションは、データ、システム、チャネル、役割を連携させ、顧客とオペレーターの視点に立ち、より効果的で効率的、感情にも配慮したやり取りを実現できます。最新の技術が進み、私たちはフロントオフィスとバックオフィスをまたぐ、顧客対応活動を包括するユニバーサルオーケストレーションへと進化しつつあります。これにより、企業はコンタクトセンターやカスタマーエクスペリエンス(CX)、従業員を含むビジネス全体を再構築できるようになります。

 

Genesys Cloud と組み込み AI を活用すれば、カスタマージャーニーの開始地点にかかわらず、インサイトを発見し、次の最適な行動を実行できます。従業員エンゲージメントと顧客満足度を簡単に向上できます。

 

 

エクスペリエンス・オーケストレーションのレベル

以下のエクスペリエンス・オーケストレーションのレベル表は、手作業中心の運用からAIによる自動運用のオーケストレーションへ至る成熟度のステップを表しています。各レベルは、自動化、機能の広がり、、最適化の適用方法における飛躍的な進歩を示し、業務効率の向上、顧客ロイヤルティーの深化、社員の満足度向上など、従業員エンゲージメントに新たなビジネス価値を引き出すことができます。

レベル 0 – ゼロオーケストレーション

顧客対応はすべて手動で行われ、統合されたツールやインテリジェンスを備えていない基本的な電話システムに頼っており、オペレーターは研修で覚えた内容と決まったマニュアル対応のみです。そのため、対応は受動的で、品質にばらつきが生まれてしまいます。

顧客の全体像をリアルタイムで把握することができず、システム間で情報やタスクやオーケストレーション(連携)されることもありません。カスタマーサービスは戦略的な機能ではなく、運用上の必須事項として扱われるため、多大な労力がかかり、離脱も多く、成果が上がりにくい状況を招いています。

  • 自動化:なし。すべての業務には(定型的な問い合わせを含め)完全にオペレーターの対応が必要です。
  • 強化(支援機能):システムの支援なし。状況に応じたデータ提示もありません。
  • パーソナライゼーション:顧客データに基づく個別対応は行われず、誰に対しても同じ手順。案内になります。
  • 最適化:研修やシフトは手動設定が中心です。リアルタイムの分析、品質管理、スタッフのシフト自動作成などの仕組みはありません。

レベル 1 – 定型メニューによる対応

自動音声応答装置(IVR)システムは、あらかじめ決められた流れと、と限定的な音声認識しかできません。顧客はキーパッドや音声メニューを操作し、主にステータスチェックや適切な部門への案内を受けます。その結果、通話件数はわずかに減少しますが、体験は依然として個別対応されず、音声チャネルに限定されています。

ほとんどのタスクには依然としてオペレーターが必要で、カスタマーリレーション管理(CRM)の文脈情報は限定的にしか活用されていません。品質管理は手動で事後的に行うため、システムは稼働していますが、臨機応変な対応はできません。

  • 自動化:自動音声応答装置(IVR)は、キーパッド入力やキーワードに基づき、口座の残高や注文状況の確認などのシンプルな情報リクエストを自動処理。ロジックは固定で融通は利きません。
  • 強化(支援機能):顧客対応中にオペレーターが顧客記録を閲覧できますが、必要な情報は手動で検索する必要があります。
  • パーソナライゼーション:スキルや言語を考慮した担当者の設定は可能ですが、体験自体はほぼ同じです。
  • 最適化:品質保証は録音を後から確認。シフト調整には時間がかかり、リアルタイムの最適化は行われていません。

レベル 2 – 事前に用意した対話シナリオによる自動対応

会話型 AI は、自動音声認識(ASR)、自然言語処理(NLP)、自然言語理解(NLU)を組み合わせ、複数のコミュニケーションチャネルで顧客に対応できます。インタラクションは、事前に定義されたルールや台本に基づいて進行します。予測型 AI モデルはルーティングやエンゲージメントなど特定のユースケースに適用されていますが、現時点では体験の一環として最適な次の行動を自律的に決定するには至っていません。 

  • 自動化:会話型 AI を搭載したボットは、注文の追跡、パスワードのリセット、本人確認などの定型的な対話をデジタルチャネルと音声チャネル(オムニチャネル)で自動化できます。しかし、ボットは柔軟性に欠け、スクリプト化されたロジックと固定された意思決定ツリーに基づく、事前定義されたフローに従います。
  • 強化(支援機能):オペレーターは、ナレッジサーフェシング・ツールから関連情報の支援を受け、カスタマーリレーション管理(CRM)の状況やキーワードに基づいて次のステップが提案されます。
  • パーソナライゼーション:カスタマーエクスペリエンス(CX)は変わらず、各顧客に合わせ対応する仕組みはまだありません。一方で、基礎的なワークフォース・エンゲージメント管理機能が導入され、オペレーターのスキルや稼働状況に応じてタスクを調整できます。
  • 最適化:ルーティング、エンゲージメント、予測に特化した予測 AI モデルを使用して、顧客とのやりとりがスムーズになります。音声通話・チャットテキストの内容の分析により、品質保証プロセスを支えています。

レベル 3 – システム生成型会話

生成 AI は、大規模言語モデル(LLM)や Transformer ベースのアーキテクチャーを活用し、設定の範囲内で文章や応答を作成します。AI は明示的に設計・学習されたタスクのみを実行し、それ以上もそれ以下も実行しません。AI は、自動化、強化(業務支援)、パーソナライゼーション(個別対応)、業務最適化を通じて顧客体験を向上させますが、あくまでも事前に設定したロジックやワークフローの範囲内に限られます。

このレベルの AI は、与えられた指示を超えて推論や意思決定を行わず、単にプログラムされた内容をこれまでより幅広く、よりスムーズに実行するだけです。

  • 自動化:AI を使ったバーチャルエージェントは、トラブルシューティングや注文状況、製品に関する問い合わせなど、より広範で複雑なやり取りを自動化できます。このようなバーチャルエージェントは自律的に見えますが、厳密に設定されたワークフローとルールの範囲内で動作しています。定義されたパターンを超えて推論や推測を行うことはありません。インテント認識や FAQ 処理などの機能を利用することで、より複雑なシナリオに対応可能ですが、あくまで事前のトレーニングと設定の範囲内に限られます。Genesys Cloud の仮想スーパーバイザー機能は運用監視の自動化に効果的です。事前に設定されたしきい値や行動シグナルを検知すると、関係部門にアラートを送信できます。
  • 強化(支援機能):エージェントコパイロットは、次に取るべき最適なアクションの提案要約の生成ナレッジ記事の検索など、関連するインサイトを表示し、オペレーターの対応品質と作業効率を高めますが、あくまで事前に定義されたルールやモデルの制約内に限られます。エージェントコパイロットは、会話中に認識した徴候やシグナルに応じて対応しますが、それらのパラメータを超えて適応したり計画したりすることはありません。スーパーバイザーや管理者向けのコパイロットも、あらかじめ設定した基準に基づいてガイダンスや推奨を提示し、意思決定の範囲を逸脱することなくナレッジの拡張を支援します。
  • パーソナライゼーション:生成 AI は、構造化セグメンテーション、インテント分類、ビジネス定義属性を使用して、個々の顧客に合わせた応答を作成できます。カスタマーリレーション管理(CRM)データや既存の傾向、過去のやりとりなどの情報に基づきパーソナライズを行い、特定のビジネス目標やセグメントに合わせたアウトプットを作成します。独自のコンテンツのように感じられますが、事前に定義されたロジックや動作ルールの枠内で生成されています。このレベルでは、パーソナライゼーションは強力ですが、あくまで設計したシナリオの範囲内で機能します。
  • 最適化:ジャーニーオーケストレーションや体験管理は、あらかじめ計画された最適化戦略を実行する AI の能力によって向上します。予測、シフト調整、業務量のバランスは、過去データを学習する予測モデルにより、継続的に改善していきます。しかし、この段階でも AI に適応力はありません。AI は決められた動作を実行し、適切性や精度を保つためには定期的に人が再学習させる必要があります。フロントオフィスとバックオフィスをまたぐタスク、アラート、ワークフローのオーケストレーションも、設定した条件に対する反応でしかなく、AIが予測をして動く仕組みではありません。

ジャーニーオーケストレーションとは顧客が企業と接する一連の流れ(=カスタマージャーニー)をリアルタイムで把握し、その瞬間に最適な対応を “自動で指揮・連携” する仕組み を指します。

レベル 4 – AIエージェントによる体験構築

AI は単純な指示通り動く作業実行から、自ら考えて問題を解決する段階へ進化します。システムは特定の目的に合わせて構成され、状況を分析し、計画を立て、記憶を活かして、明確に定義された枠組みの中で目標を達成する最善の方法を決定します。

このレベルではエージェント型 AI が導入され、文脈を解釈し、複数のステップにわたって計画を立て、入力に応じてアクションを調整します。ただ、実行はまだ半自動運転の段階です。人による入力、承認、監督は依然として不可欠で、目的との整合性を保ち、システムの逸脱を防ぐ必要があります。

  • 自動化:バーチャルエージェント、監督者(スーパーバイザー)、およびシステム管理者は、営業、契約更新、顧客維持などの高度な領域で、複雑な業務タスクや意思決定の流れを担います。設定された目標の範囲内で、定められたルールや承認プロセスに沿って、最適な方法を判断します。このようなシステムは、標準作業手順書(SOP)、ナレッジ記事、指示書などの内容をもとに、正確かつ一貫した対応を実行できます。非同期処理が一般的になり、オペレーターや従業員が他の業務行っている間にも、タスクがバックグラウンドで進行します。バーチャルエージェントは、タスクが完了したときや入力が必要なときにユーザーに通知し、透明性を保ちつつ、人による管理を継続します。
  • 強化(支援機能):コパイロットはさらに能動的になり、オペレーター、スーパーバイザー、管理者に対して高度な提案を行い、承認され次第、自動実行します。例としては、記録の更新、リスク検知、プロセス効率化、コミュニケーションのリアルタイム翻訳などです。コパイロットは、す。例えば、抜けた手順の指摘、コンプライアンスのヒント、重要な文脈の想起などを、作業の妨げにならないようサポートします。コパイロットは主導権を握るのではなく、状況に応じたさりげない働きかけでオペレーターのパフォーマンス向上をサポートします。複雑な入力を分析して提案を適応させても、あくまで実行の最終判断は人に委ねます。
  • パーソナライゼーション:パーソナライゼーションは、より戦略的でデータ主導になります。AI システムは、内部記憶、顧客プロファイル、過去のやり取り、状況の手がかりを使用して、顧客に最適な応答やワークフローを決定します。ビジネスで定義セグメント、取引履歴、設定されたルールから情報を引き出すこともその例です。オペレーターはシナリオの複雑さに応じたサポートを受けます。提案内容は、汎用のワークフローではなく、顧客ごとにパーソナライズされた戦略ガイドが提示されます。ただし、すべてのパーソナライゼーションはビジネスで設定した枠組み内で行われ、AI がその枠組を超えて即興的に対応することはありません。
  • 最適化:オーケストレーションは、動的な文脈を活用し、システム全体でエクスペリエンスフローを改善できます。AI コンポーネントは半自律的に、より最適なルートと効率的な解決策を導き出し、必要な手動設定を抑えつつ、事前に設定した制約内で動作します。異常検知、パターン認識、過去のデータに基づく意思決定などの機能は、プロセスギャップ(業務フローの抜け漏れ)やエスカレーションが必要なポイントを見つけるのに効果的です。住宅ローンの承認や会計の調整のように裁量やポリシーの解釈が求められるケースでは、AI は意思決定に必要な情報を整理・準備をしてオペレーターを支援しますが、最終的なアクションは人が担います。

レベル 5 – 統合AIエージェントによる横断的オーケストレーション

AI は目標主導型の自律性に到達し、人のステークホルダーによって定義された目的に基づいて、自ら計画し、判断し、実行することができます。仮想エージェント、仮想スーパーバイザー、仮想管理者は、もはや固定のワークフローや線形的なタスクの実行に制約されません。それらは、固定された命令に従うのではなく包括的な目標に導かれ、ビジネス成果を達成するために新しい戦略を動的に生成し、状況に応じたにアクションを取れるようになります。

これがオーケストレーションの成熟度の頂点です。AI は、事後対応型の自動化から、自律型の協働エクスペリエンス管理に移行します。 AI システムは、LLM に記憶、計画、推論を組み合わせ、継続的なフィードバックループによって強化されます。断片的なやり取りや単発的対応はなくなり、エコシステム全体で流動的、適応的でスマートな一貫性のある体験が実現します。

AI エンティティ同士が直接関わり合い、目標を共有し、背景情報を交換し、責任を委譲することで、社内システムと外部パートナーに及ぶ分散型オーケストレーションが実現します。人は戦略的な判断や監督といった重要な場面に関わり、共感や創造性、判断力が求められる複雑な意思決定に集中します。

  • 自動化:仮想エージェント、仮想スーパーバイザー、仮想管理者は、業務の開始から完了までを一貫して自律的に実行できます。システムは、企業の目標や背景情報を理解し、あらかじめ決められたシナリオや人手による介入に頼らず、最適な対応フローを判断します。タスクの所有権や引き継ぎは、インテリジェントな AI エージェント間で動的に行われ、役割や専門領域にとらわれず、協調的に判断が下されます。システムが共通の目標を追求することで、部門、チャネル、パートナーネットワーク全体で意思決定が調整され、大規模で調和的にアクションを実行します。顧客対応からバックオフィスまで、ほとんどの運用ニーズは、複数のAIが連携し、連携度の高い仕組みから自動的に解決されます。
  • 強化(支援機能):AI が多くの業務を自動で処理できますが、監督、ポリシー策定、そしてビジネスの戦略的判断といった重要な役割には、引き続き人の関与が欠かせません。コパイロットは、実行した内容を要約して監査や管理者による確認・介入に活用できる情報を提供します。状況に応じてユーザーのニーズを先読みし、次のアクションを提案することも可能です。これはこれまでの承認パターンから学習し、サポート範囲を広げていきます。コパイロットと自律型AIエージェントが情報や判断を共有することで、人による意思決定をサポートし、業務効率を高めることが重要です。オペレーターは、自身の業務内容や状況に応じてオーケストレーションされた高度に整理された情報をもとに、より重要な判断や価値のある業務に注力できるようになります。
  • パーソナライゼーション:顧客体験は、バーチャル管理者、スーパーバイザーやエージェントといったAIシステムによってオーケストレーションされ、それぞれが独自の異なる視点、役割、文脈、機能を発揮します。これらのインテリジェントシステムは、過去のやり取りや、企業ナレッジ、顧客の行動パターンなどの情報を活用して、リアルタイムで体験を最適化します。パーソナライゼーション(個別対応)は、単一のシステムではなく、複数のAIが連携しながら、状況に応じて全体として柔軟かつ分散的に行われます。顧客の目標や状況(ジャーニーステータス)に対する理解を共有・連携することで、効果的なパーソナライズ対応が可能になります。1つのブランド内でも、複数のチャネルやシステムをまたぐエコシステム全体でも、バーチャルエージェントは自らの応答や意思決定など、一貫した対応を行えるよう連携し、各タッチポイントでも継続性があり、顧客の意図と合致した対応が行えるようになります。
  • 最適化:最適化は自律的かつ分散的に進み、ビジネスの目標に沿って調整されるようになります。AI 主導の各システムは、個別に動くのではなく、継続的な学び合うネットワークの一部として機能し、全体のパフォーマンス向上に貢献します。これらのシステムは、共有されたフィードバック、パフォーマンスデータ、目標達成データをもとに、ワークフローや意思決定の仕組みを進化させていきます。オーケストレーション仕組みは、企業の優先事項の変化に柔軟に適応し、AI 主導のエージェント同士が連携することで、業務負荷・リソースの見直しや戦略の再調整をおこないながら、成果の最大化を図ります。手動の設定や再学習に頼らず、環境の変化に応じて成長・適応する、オーケストレーションされた、自律的なかしこい仕組みが誕生します。

 

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エクスペリエンス・オーケストレーション成熟度モデルは、企業が完全に手動で運用対応していた段階から、AIを活用してカスタマーエクスペリエンス(CX)や従業員体験を自律的に管理・改善できる高度な仕組みへと進化する道筋を示しています。各レベルは、AIの機能が大きく進化し、それに伴い提供できる潜在的な価値を反映しています。個々のタスクの自動化から始まり、最終的にはビジネス目標を達成に向けて、計画、推論、実行まできるシステムへと成長していきます。

企業がエクスペリエンス・オーケストレーションの成熟度を進化させるにつれて、ビジネスの優先度、顧客セグメント、運用上の制約、リスクに関する考慮事項に応じて、異なるレベルの仕組みが並行して共存することが一般的です。引き続き人による判断が必要とされる一方で、より高い自律性がメリットとなる業務出てきます。

成熟への過程には、インテリジェントシステム間のコラボレーションの拡大も含まれる点が重要です。AI が主導するエージェント同士が連携し、複雑なタスクを解決したり、情報を共有しながら、さまざまな顧客体験の流れ(ジャーニー)に柔軟に対応していきます。このように連携して動作するエージェントは、顧客対応だけでなく、スーパーバイザー、管理者のサポートにも貢献し、拡張性と適応力を備えたオーケストレーションの基盤となります。さらにこのモデルでは、インテリジェンスは単一のシステムや仕組みに限定されるのではなく、エクスペリエンス環境全体に分散し、継続的に学習、共有、改善を積み重ねることで、常に進化し続けるのが特徴です。

最後に

エクスペリエンス・オーケストレーションのレベルは、企業が変革を進める際の指針となる体系的な成熟度モデルです。私たちは、現在ほとんどの企業がレベル 1 かレベル 2 に位置していると想像しています。しかし、進むべき道は明確であり、その取り組みは加速し続けています。

1 この文書はディスカッションペーパーです。製品ロードマップではありません。Genesys は、この文書に記載された機能の提供を約束するものではありません。

※この記事は、2024 年 5 月 14 日に初公開され、その後、更新されています。

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作成者:

トニー・ベイツは、Genesys の会長兼 CEO です。世界 100 か国以上で会社の戦略や方向性、業務を指揮し、6,000人以上の従業員からなるグローバルチームを監督しています。

トニーは市場の大きな変化と急速な拡大を通じて、数十年にわたり BtoB 企業と BtoC 企業を支援してきた経験を有しています。また情熱的な技術者でもあり、ネットワーク運用とインターネットインフラストラクチャーからキャリアをスタートし、毎日の通勤中にプログラミングを学んだ経験もあります。迅速にビジネスの洞察力を身につけ、世界的に著名なグローバル SaaS 企業のいくつかで信頼される経営幹部として活躍しました。

キャリアのハイライトとして、Cisco のサービスプロバイダー事業を率い、エンタープライズ/コマーシャル部門を年間売上 200 億ドル以上に成長させ、Skype では CEO として 1 億 7,000 万人を超える接続ユーザー数へ事業を拡大しました。Skype が Microsoft に買収されると同社の社長に就任し、ユニファイドコミュニケーションを担当した後、ビジネス開発/開発担当のエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めました。トニーは、Genesys における役割に加え、VMware の取締役も務めています。

ピーター・グラフ博士は、Genesys の戦略担当 SVP です。Genesys の戦略の策定、浸透、維持を担当しています。

2017 年に Genesys に入社する前は、グローバル・エンタープライズソフトウェア業界で 25 年以上にわたり、戦略、開発、マーケティングの各分野でさまざまなエグゼクティブリーダー職を歴任し、中でも多国籍ソフトウェア企業 SAP では、エグゼクティブ・バイスプレジデントを務めました。ドイツのザールラント大学で人工知能の博士号、カイザースラウテルン工科大学でコンピューターサイエンスと経済学の修士号を取得しています。