AI チャットボットとは、人工知能の技術を用いることで対話を自動化するプログラムです。ここではチャットボットの種類や仕組み、その中で AI チャットボットを導入するメリットなどについて解説します。各業界における活用例も取り上げていますので、導入に向けた検討材料として参考にしてください。

目次

  1.  AI チャットボットとは?
  2. チャットボットの種類と仕組み
  3.  AI チャットボットを導入するメリット
  4.  AI チャットボットのデメリット
  5.  AI チャットボットの導入が向いているケース
  6.  AI チャットボットの業界別活用例
  7.  AI チャットボットの導入事例
  8.  AI チャットボットをビジネスに活用しよう

 

1. AI チャットボットとは?

AI は大量のデータを用いることで人間の知能を模倣し、学習や判断、推論等を行う技術です。 Artificial Intelligence の略称で、日本語では「人工知能」と訳されます。その中心技術は機械学習にあり、音声認識や AI 家電、自動運転、そしてチャットボットなど広く用いられるようになりました。近年では膨大なデータを学習して新しいテキストを生成する「生成 AI 」もチャットボットに搭載されています。まるでカスタマーサポートのように顧客からの質問に対して瞬時に生成 AI が自動応答し、カスタマーエクスペリエンスの向上に役立っています。
なお、チャットボットには「 AI 非搭載型(チャットボット)」と「 AI 搭載型( AI チャットボット)」とがあります。

・チャットボット VS AI チャットボットの違い

従来からある AI 非搭載のチャットボットは、あらかじめ登録された情報をもとに、ユーザーからの問いかけに対して自動返答してくれるプログラムです。一方、 AI は過去のやり取りから機械学習を行い、質問の意図を読み取って回答するプログラムです。回答内容に柔軟性があり、より人間に近い自然な会話が可能となっています。

 

2.チャットボットの種類と仕組み

チャットボットには、以下のような種類があります。

種類 特徴
シナリオ型 事前に設定したスクリプトをもとに会話します。
辞書型 事前に登録した単語とそれに対する回答から会話します。
 AI 型 大量のデータから機械学習を行い、その学習内容から回答を導き出します。
生成 AI 搭載の場合は、会話のようなテキストを瞬時に返答する機能もあります。

それぞれ仕組が異なりますので、特徴や仕様について詳しく解説していきます。

・シナリオ型

シナリオ型

あらかじめスクリプトを設定し、その内容に従って回答します。あらかじめ用意された質問に対する選択肢を提示し、ユーザーに選んでもらうことで回答を導き出します。

・辞書型

辞書型

登録された単語とそれに対する回答をもとに、ユーザーからの質問へ回答します。例えば「ログイン」という単語が入力されたら、あらかじめ登録されている「ログインの手順」を回答として返すといったものです。

・AI 型

Ai型

事前に登録された大量のデータをもとに AI が機械学習を行い、その学習内容からユーザーの質問に適した回答を導き出します。回答に柔軟性があり、人間との会話に近い自然な応対が可能です。近年では、生成 AI が搭載されたチャットボットも登場しています。顧客の回答に対して、膨大なデータから学習した生成 AI が瞬時にテキストを生成して回答します。しかし、生成 AI に対しては事実と違う誤情報の発信や、訓練データの偏りでバイアスのかかった不適切な回答、個人情報流出などのリスクが懸念されており、導入に慎重な企業も見られます。最近では生成 AI のモデルに情報検索機能を組み合わせた手法「 RAG( Retrieval-Augmented Generation )」によってリスクの軽減も進んでおり、今後の発展が期待されます。
生成 AI については、また別の機会に詳しく触れたいと思います。

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3.  AI チャットボットを導入するメリット

AI チャットボットの導入には、具体的に以下のようなメリットが考えられます。

  • 24 時間 365 日の対応が可能
  • コスト削減
  • 迅速な対応
  • 一元管理と活用
  • 問い合わせ対応の効率化

それぞれ、以下で詳しく解説します。

・ 24 時間 365 日の対応が可能

AI チャットボットは 24 時間 365 日、いつでもユーザーからの問い合わせに対応できます。ユーザーを待たせることなく疑問・質問を解決できるため、顧客満足度の購入にも繋がるでしょう。

・コスト削減

多くの質問に対して AI チャットボットが回答してくれるため、人的コストを削減することができます。

・迅速な対応

AI チャットボットは、ユーザーの問い合わせに対してすぐに回答を返してくれます。人間と対話するように、迅速な対応が可能です。

・一元管理と活用

AI チャットボットに対する問い合わせ内容は、データとして蓄積されます。また、従業員の知識やマニュアル等も、データベースで一元管理することが可能です。これを活用すれば、必要な情報を即座に探し出したり、商品開発やサービスの品質改善に役立てたりすることもできます。

・問い合わせ対応の効率化

AI チャットボットが人間の代わりにユーザーからの問い合わせへ自動対応してくれるため、業務効率が高まります。

 

4.  AI チャットボットのデメリット

AI チャットボットには、以下のようなデメリットもある点に注意しましょう。

  • 複雑な問い合わせへの対応が難しい
  • 初期設定とカスタマイズの負担
  • ユーザー体験の制約

それぞれ、以下で詳しく解説します。

・複雑な問い合わせへの対応が難しい

AI チャットボットは、あくまで機械学習した内容から問い合わせへの回答を導き出します。そのため、必ずしもすべての問い合わせに回答できるとは限らず、特に複雑な内容には対応できません。そうした場合には、人間による対応が必要となるでしょう。

・初期設定とカスタマイズの負担

AI チャットボットを活用するには、データ登録など初期設定が必要です。また、回答精度を高めるには継続した機械学習が必要となるほか、ユーザーニーズや商品・サービス内容等に応じて継続的なカスタマイズも欠かせません。ある程度の労力と時間が掛かり、負担となる可能性があります。

・ユーザー体験の制約

AI  チャットボットは、人間の感情や細かな文脈のニュアンスまで汲み取ることができません。そのため、人間との対話に比べて成約が生まれます。

 

5.  AI チャットボットの導入が向いているケース

以下のようなケースでは、 AI チャットボットの導入が向いています。

  • 問い合わせ内容が多岐にわたる
  • 問い合わせ対応の業務負担を軽減したい
  • 問い合わせ対応の人的リソースが不足している
  • 24 時間 365 日、常に問い合わせが寄せられる
  • 顧客満足度に課題がある など

特に、問い合わせに対する一時回答にスピードが要求される現場に AI チャットボットを導入することで、回答をすぐに返すことができるため、顧客満足度が上がる事例が多く見られます。

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6.  AI チャットボットの業界別活用例

どのように AI チャットボットが活用できるのか、業界別の例をご紹介します。

・コールセンター

日々多くの問い合わせを受けるコールセンターでは人員確保も難しく、従業員の業務負担も大きくなりがちです。しかし、 AI チャットボットを導入すれば、多くの問い合わせに自動対応してくれます。限られた人員でも顧客満足度を高められるほか、業務効率化と共にコスト削減も実現可能です。

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・小売り

小売業においては、商品等に対する問い合わせが電話やチャットで数多く届きます。しかし、時間帯によっては迅速に処理し切れず保留となったり、オペレーターに繋がる前に電話が切られたりすることもあるでしょう。 AI チャットボットを導入すれば、常にユーザーからの問い合わせへ迅速に回答できます。サービスレベルの向上や保留時間の短縮、通話応答率の増加等に繋がり、結果的に収益拡大も見込めるでしょう。

・銀行

銀行では全国各地に支店を持ち、支店間で顧客データを含めた情報共有が十分に行えていないケースが少なくありません。また、規模に応じて問い合わせの量も増える一方、支店によっては対応が追い付かず、従業員の負担増や顧客満足度の低下が起こってしますことも考えられるでしょう。 AI チャットボットは全支店に対する問い合わせに対応でき、蓄積されたデータを共有できます。データは対応品質の向上にも活用可能なため、業務負担の軽減と共に大きな顧客満足度向上に繋がるでしょう。

CV:銀行業界における優れた CX の 5 つの事例

・保険

保険業界ではオンライン化が進んでおり、ユーザーからは夜間や週末など時間を選ばず問い合わせが寄せられます。しかし、例えば翌日の対応に回してしまえば機会損失が生じる可能性がありますし、一方で十分な人員を確保するには多くのコストが発生するでしょう。
AI チャットボットであれば人員を増やすことなく、 24 時間 365 日の対応が可能になります。また、これによって従業員の対応する問い合わせ数が削減されるため、空いた時間を CX 向上のための業務に使うことができます。

CV:保険業におけるエクスペリエンスの再定義~ 顧客体験と従業員体験を変革 ~

・自治体

自治体においては、同じような問い合わせが複数寄せられることも少なくありません。また、問い合わせ内容は子育てや教育、医療、産業など多岐にわたります。 AI チャットボットなら、分野を限らずさまざまな問い合わせにも迅速な対応が可能です。
また、基本的に土日祝日は対応できず、疑問があってもユーザーは平日まで待つことになるでしょう。 AI チャットボットを導入すれば、いつでも疑問を解決できます。電話やチャットで対応できれば、窓口を訪れる人の数も減り、従業員の業務負担も軽減されるでしょう。

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7. AI チャットボットの導入事例

以下で2つ、具体的な AI チャットボットの導入事例をご紹介します。

・Graphic Solutions Group(GSG)

Solutions Group(GSG)はグラフィックおよび商用看板業界向けの機器、消耗品、サービスを専門とする企業です。全社売上の約 3 分の 1 を e コマースが占めており、日々多くの電話やチャットメッセージが寄せられています。
そこで、同社は Web サイトに決済セルフサービスポータルを導入し、さらにチャットボットを追加。チャットボットは最初の Web メッセージに自動応答し、問い合わせに対する関連情報を提供します。また、 AI による需要急増の予測、そしてそれに基づく従業員のスケジューリングにも活用した結果、以下のような成果を得られました。

  • 保留時間を 79 %短縮
  • 放棄呼数が 65 %低下
  • 通話応答率が 12 %増加
  • サービスレベルが 88 %向上
  • 25 万ドルの年間コスト削減

https://www.genesys.com/ja-jp/customer-stories/gsg

・Rabobank

オランダに本拠地を置く協同組合型銀行の Rabobank は、中央組織と 89 の現地支店、専門の海外オフィスで構成されています。しかし、コンタクトセンターでは複数の独立したオンプレミス製品を使用していたことから、支店間における情報共有や顧客データの一元管理、リアルタイムデータの取得などが不可能な状況。また、 IP テレフォニー、ルーティング、レポーティング、音声録音、 CRM システム統合など基本的な要件も複雑化し、管理が困難となっていました。残高確認やカード紛失、あるいは住宅ローンの申し込みを含めた問い合わせが増える中、キューと待ち時間が長くなっていることも課題だったようです。
そこで、同行は AI チャットボットを用いた会話型の新たなバンキング・サービス・モデルを構築。 24 時間 365 日で対応可能な仕組を作り、9 カ月間に 80 以上の部門で計 1 万 5,000 人のアドバイザーの移行を完了しました。また、Microsoft Power Virtual Agent 上で動作する 2 つのバーチャルアシスタントを立ち上げ、現在はオペレーターがビデオ通話への招待リンクを含むメッセージを即座に送信できるようになっています。ます。その結果、同行では以下のような成果をあげました。

  • 顧客満足度が 90 %以上に向上
  • 生産性が 25 %向上
  • 220 万ドル以上の人件費を削減
  • バーチャルアシスタントが問い合わせの 45 %に対応

https://www.genesys.com/ja-jp/customer-stories/rabobank

 

8. AI チャットボットをビジネスに活用しよう

AI チャットボットを導入すれば 24 時間 365 日の対応が可能となり、コスト削減や対応の迅速化・効率化などの効果が期待できます。業務効率が改善すれば、顧客のみならず従業員の満足度も高まるでしょう。すでに業界を問わず、多くの企業が AI チャットボットを導入して成果をあげています。
Genesys では解決したい課題に合わせ、カスタマイズしたデモをご提供しています。実際の AI チャットボットに触れることで、導入による効果を具体的にイメージできることでしょう。 AI チャットボットの活用をご検討中であれば、ぜひ一度デモをご覧ください。

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