最適化
ワークフォースマネージメント(WFM)ソフトウェアソリューションの選択と最適化
これまで説明してきたように、WFMソリューションはカスタマーサービス/カスタマーエクスペリエンス・チームだけでなく、ビジネス全体に大きなメリットをもたらします。WFMの利点を十分に活用していない場合は、現在のソリューションを進化させるタイミングです。以下では、ソフトウェアやベンダーを比較する際に注目すべき点を紹介します。
WFMソフトウェアに統合すべき機能
WFMソフトウェアは、ワークフォースエンゲージメント・マネージメント(WEM)ソフトウェアと連携して機能する必要があります。適切な WFM ソフトウェアに統合すべき機能を以下にまとめます。先に触れた分断データの課題も、コンタクトセンター・ソフトウェアにネイティブで搭載された WFM や WEM ソフトウェアを利用することにより解決可能です。
感情分析、オペレーターの共感度分析、トピックの傾向、通話全体の要約や情報を基に、インタラクションを自動的に分析します。こうしたデータを活用することにより、コンバージョン率向上、ボットや仮想エージェントの精度強化、対応時間やインタラクション量の削減が実現できます。
会話型インテリジェンスは、オペレーターのスキル強化やスタッフ配置の最適化にも有効です。スーパーバイザーと WFM システムが、特定の問い合わせに対応する最適な人材を把握しやすくなるためです。
オペレーターやスーパーバイザーは、AI のサポートを受けることにより、顧客インタラクションの効率と品質を同時に向上させられます。手動作業の自動化、背景や意図の把握による誘導、多言語チームを支援する翻訳機能などを備えています。
コパイロットは、オペレーターのタスクを簡素化することでスタッフへの負担を軽減し、短時間かつ少ない労力で多くの業務を遂行できるようにします。代替手段ではなく効率を高める補助であるため、人員不足の課題を緩和できます。
インタラクションデータを活用して初回コール解決率などのパフォーマンス指標を改善できます。マルチチャネルでインタラクションを記録し、AI が提供する顧客の声(VOC)やパフォーマンスパターン、自動評価による公平な測定を基に、偏りを軽減することが可能です。
QA 手順の改善により、スーパーバイザーは成長が必要な分野でオペレーターを効果的にサポートできます。オペレーターの効率性が高まり役割が広がることで、スタッフ配置が容易になり柔軟性も強化されます。また、スーパーバイザーはオペレーターの稼働に影響しない時間帯にトレーニングを実施できるため、教育が業務の妨げになることはありません。
個人評価を通じてパフォーマンスを高め、オペレーターの離職率を低下させられます。AI により不足しているスキルや知識を特定し、ゲーミフィケーションを導入してスコアカード、リーダーボード、コンテストを通じてモチベーションを強化します。
従業員パフォーマンスの向上は、スケジュール遵守や時間厳守の徹底につながります。これらの指標にゲーム要素を加えることでインセンティブが増え、オペレーターが成果を上げやすい環境を整備できます。
分析とレポート
中央ハブからリアルタイムデータを集約し、コンタクトセンターの稼働状況や効率を監視できます。インタラクションデータ、オペレーターのパフォーマンス、ジャーニーに関する情報を活用してビューを柔軟にカスタマイズできるため、継続的な最適化が可能です。WFMソフトウェアを包括的なコンタクトセンター/コールセンター・ソフトウェアプラットフォームに統合することにより、情報を有機的につなぎ合わせ、ビジネス全体のナレッジ獲得を容易にします。
モバイルアプリ
モバイルアプリと統合することで、オペレーターは必要なときに、必要な場所で、自分に合った方法でスケジュールを管理できます。この柔軟性の重要性はますます高まっています。オペレーターはワークライフバランスを改善できる新たな手段を得られ、スケジュールを自由に調整できるだけでなく、コンピューターから離れていても都合のよいタイミングで管理が可能です。
ベンダーとソフトウェアトライアルの評価に関するヒント
まず、ベンダーがビジネスの成功に必要な機能を提供しているかを確認してください。AI 機能やクラウドホスティングを備えていない旧式の製品しか扱わないベンダーは、安心して候補から外せます。
ワークフォースマネージメント分野に限らず、AI 活用によってビジネス全体がどのように進化しているかを見極めることが重要です。バーチャルエージェントが担うインタラクションは増加を続け、オペレーターやスーパーバイザーを支援するコパイロット機能によって手動業務は大幅に削減されています。こうした流れは今後も続くため、検討中のベンダーがこれらの変化にどう対応し、企業を先導できるのかを見極める必要があります。
また、ベンダーの販売前、販売中、販売後のサポート体制も評価すべきです。ワークフォースマネージメントソフトウェアは導入から完全統合まで複雑になりやすいため、CX に強いベンダーは課題を想定し、積極的にサポートを提供します。ソフトウェアを最大限に活用するには、こうした支援が不可欠です。
さらに、ソフトウェアデモとトライアルは評価プロセスの一部です。ベンダーは少なくともデモを主導する必要があり、トライアル中のサポートも極めて重要です。トライアル中にガイダンスが必要となるケースは多く、アクセス制限が厳しい環境では十分な検証ができません。ナレッジに基づいた判断を下すためには、実際の運用時の状態を確認できることが欠かせません。