概要
カスタマージャーニー・マネージメントの基本を学ぶ
カスタマージャーニー・マネージメント(CJM)は、顧客が求めるシームレスな体験を提供するための、実績に基づいたアプローチです。現在の顧客は、最先端の CX をあらゆる企業に期待しています。その期待を下回れば、不満や顧客離れにつながる可能性もあります。ここでは、CJM とは何か、現在のカスタマーエクスペリエンスの考え方がどのように確立されてきたのかを、少し紹介します。
概要
カスタマージャーニー・マネージメント(CJM)は、顧客が求めるシームレスな体験を提供するための、実績に基づいたアプローチです。現在の顧客は、最先端の CX をあらゆる企業に期待しています。その期待を下回れば、不満や顧客離れにつながる可能性もあります。ここでは、CJM とは何か、現在のカスタマーエクスペリエンスの考え方がどのように確立されてきたのかを、少し紹介します。
カスタマージャーニー・マネージメントは、各タッチポイントにおける個別のインタラクションを最適化するのではなく、顧客が目的を達成するまでに辿るジャーニー(一連の流れ)に着目するアプローチです。これは、単なる顧客対応の改善ではなく、カスタマーエクスペリエンス(CX)を測定・監視・最適化できるようにする思考の転換であり、企業全体を顧客の目標に沿って連携させることを可能にします。収集された顧客データを活用することで、あらゆるチャネルにわたるカスタマーエクスペリエンスをリアルタイムに統合・最適化する、エクスペリエンス・オーケストレーションを実現できます。カスタマージャーニー・マネージメントは、顧客中心の企業が次のような目的で活用しています。
先進的な企業は、このようなカスタマージャーニー・マネージメントを活用してカスタマーエクスペリエンスを着実に改善し、顧客と企業の双方に価値をもたらしています。
従来のマーケティングでも顧客のセグメント化は行えますが、カスタマージャーニー・マネージメントは、全チャネルにわたる顧客の行動データを時系列で活用し、顧客が過去に何をしていたか、現在どう行動しているか、さらには将来どう動く可能性があるかまで把握できる点で優れています。これを採用することで、企業は一般的なマスマーケティングに頼ることなく、データに基づいた意思決定と精度の高いターゲティングを実現できます。例えば、サポート対応中の重要な顧客に対して、購入意欲が低下しているタイミングでアップセルキャンペーンを配信してしまうといった事態を未然に防ぐことができます。
カスタマージャーニー・マネージメント(CJM)は、顧客がブランドとどう関わるかを捉える、比較的新しい視点です。実際、CJM という考え方は、デジタル化の進展と、顧客が企業に求める体験の質の変化がなければ生まれなかったアプローチです。
今の顧客は、ブランドに多くのものを求めています。購入はもはや「最安値の商品を見つけて買うだけ」の行動ではありません。顧客は、良質なサービスを期待し、複数のチャネルを通じてブランドと対話し、購入前後を問わず一貫した体験を望んでいます。単なる取引では飽き足らず、自分のタイミングで、好きな方法でブランドとつながりたいと考えているのです。
こうした変化の背景には、購買プロセスのデジタル化があります。オンラインショッピングが普及したことで、顧客は店舗に足を運ばずとも、ほとんどのものを購入できるようになりました。さらに SNS の登場によって、称賛も苦情も、だれでも見られる形で拡散されるようになり、見込み顧客やカスタマーサービス・オペレーターの目にも触れるようになっています。
そして何より重要な点は、タッチポイントの数が大幅に増えているということです。従来の店舗や広告看板に加え、今では Facebook ページや掲示板といったデジタルチャネルが日常の接点になっています。つまり、スムーズなカスタマージャーニーを実現するには、これまで以上に多くの場面でブランドとして一貫した対応を行う必要があるのです。
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世界中の先進企業が、このようにカスタマージャーニー・マネージメントを活用してカスタマーエクスペリエンスを着実に改善し、顧客と企業の双方に価値をもたらしています。顧客のジャーニーを軸に企業を整えるための具体的なステップを踏むことで、どのような企業でも同様の成果を目指すことができます。
カスタマージャーニーを適切に管理するには、まずそのジャーニーが実際にどのようなものかを正しく把握することが不可欠です。そのための分析手法には、さまざまな方法があります。
カスタマージャーニー・マネージメントには、主にジャーニーマッピング、ジャーニー分析、カスタマージャーニー・オーケストレーションの3つの要素があります。マッピングと分析は、ジャーニーの課題を特定するためのプロセスで、オーケストレーションはジャーニーを最適化する手段として機能します。
カスタマージャーニー・マネージメントは、これら 3 つの要素を包括的に組み合わせたアプローチであり、企業がカスタマーエクスペリエンスを理解・設計・改善するための土台となります。この 3 つの手法は組み合わせて使われることが多く、主な目的は、体験の設計、ジャーニーに関するインサイトの創出、継続的な最適化などです。
次に、主要なジャーニーの管理機能と、よく用いられる 3 つの組み合わせパターンを簡単にご紹介します。
人は一般的に、わずか数秒(およそ 7 秒)で第一印象を形成すると言われています。そしてその印象は、一度定着すると簡単には変わりません。だからこそ、カスタマーエクスペリエンスは極めて重要なのです。なぜなら、それこそがブランドの第一印象となるからです。カスタマーエクスペリエンスとは、文字通り顧客があなたのブランドをどう体験するかを意味します。
カスタマーエクスペリエンスが悪ければ、顧客は離れていく可能性が高く、再び戻ってくる可能性は極めて低くなります。顧客ロイヤルティーは、良質な体験に支えられているのです。
ジャーニーマネージメントは、カスタマージャーニーのデータを一元化することから始まります。多くの企業では、顧客データが部門ごとのデータベースや、DWH、CDP といったプラットフォームに分散したまま埋もれており、ジャーニーマネージメントの基盤となる、オムニチャネルの時系列データが不足しています。
統合型カスタマージャーニー・データを利用することで、チャネルを横断し、時間軸に沿って顧客が示す行動に基づいた分析やオーケストレーションが可能になります。その結果、新たなビジネス上の問いに回答するたびに複雑な集計やデータ変換を行う必要がなくなり、アナリストだけでなく企業全体が、ジャーニーのあらゆるステージでデータに基づいた意思決定を行えるようになります。
カスタマージャーニー・データハブは、ビジネスのあらゆる部門に対して、各顧客が目標を効率的に達成するために必要なリアルタイムデータを提供します。このデータハブこそが、カスタマージャーニー・マネージメント・ソフトウェア・プラットフォームの基盤となります。すべてのデータを一元化することで、分断された情報源を個々に追いかける必要がなくなり、チーム全体がジャーニーを包括的に分析・活用できるようになります。
カスタマーエクスペリエンス(CX)を改善するために、CX チームはカスタマージャーニー分析を活用し、各ジャーニーのパフォーマンスや成功を予測するジャーニーシグナルを測定しています。コンバージョン率、ネットプロモータースコア(NPS)、顧客満足(CSAT)、無反応率、経過時間など、多岐にわたるジャーニー内指標があり、それぞれのジャーニーにおいて成功を予測する重要なタイミングを捉えられるかどうかを評価する必要があります。
ジャーニーの成功は、ジャーニー終了時の指標(満足度、完了率、コスト、エフォートスコアなど)に基づいて算出されるジャーニースコアで確認できます。現在では、カスタマージャーニー・マネージメントに注目するCX リーダーが増えており、ジャーニーのパフォーマンスを測定・監視・評価するための基盤として活用しています。
言うまでもなく、顧客データを収集・活用する際には、プライバシーとセキュリティーに関する重要な配慮が欠かせません。特に個人を特定できる情報(PII)は厳重に保護される必要があり、使用するソフトウェアプラットフォームには高度な安全管理機能が求められます。また、個人情報は倫理的に扱うことも重要です。チーム全体がデータの扱い方と保護方法について、適切なトレーニングを受けていることを確認しておきましょう。
導入
いよいよ、顧客がストレスなく目的を達成できるよう、重要なジャーニーを特定し、最適化する段階です。
顧客の行動はさまざまで、タッチポイント間の移動に全く同じ道筋をたどる顧客は存在しません。顧客が達成しようとしている目標を明確にし、それを自社のビジネス目標と結び付けることが重要です。
例えば、通信事業者にとって、顧客がサービスを更新・アップグレードするジャーニーは、顧客維持と顧客生涯価値(LCV)の最大化に直結する重要な要素です。また、金融機関にとっては、自動引き落としの設定を促すジャーニーが、延滞回収コストの削減に向けた解決策となるでしょう。
顧客と企業の双方にとって意味のある目標を定めたら、その達成に向けて進捗を示す主要なステップを特定しましょう。例えば、住宅ローンのジャーニーでは、「オプションの検討」「申請の提出」「初回請求の支払い」など、いくつかの重要なマイルストーンがあります。
カスタマージャーニー・マップ作成の第一歩は、顧客のさまざまなタッチポイントから、適切なデータを統合することです。このデータを一定期間にわたって収集することで、顧客の行動やインタラクションのパターンが明らかになり、チャネルを横断した包括的なジャーニーの全体像が見えてきます。こうすることで、点在するデータや主観的な仮説ではなく、実際の顧客行動に基づいた確かなインサイトが得られます。
次に、そのデータを分析し、顧客が直面している課題や摩擦ポイントを特定します。どこでつまずいているのか?どの段階で顧客離れが発生しているのか?どのチャネルが有効に機能しており、どこが十分に活用されていないのか?これらの問いに回答することで、ジャーニー全体に影響を与える要因が見えてきます。
得られた情報はジャーニーマップとして可視化しましょう。このマップは、顧客行動を継続的に追跡し、得られたインサイトをもとにアクションにつなげる動的なツールとなります。データに基づく判断にフォーカスすることで、摩擦ポイントを取り除き、顧客のニーズに応えるスムーズな体験をあらゆるステップで実現できます。こうした取り組みを継続的に行うことで、カスタマージャーニー全体を常に最適化することができるのです。
分析は、それに基づいて行動を起こしてこそ価値があります。顧客データの収集・分析を通じて、どこに改善が必要なポイントがあるのかをすでに把握できているはずです。ここからは、課題を解消し、ジャーニー全体を最適化していく段階に入ります。
従来、多くの企業は特定のタッチポイントにおけるインタラクション改善に注力してきました。しかしそれでは、チャネルや時間をまたいで顧客が実際にたどるジャーニーを見落としてしまいがちです。カスタマージャーニー・オーケストレーションは、単なるパーソナライゼーションの域を越え、すべてのチャネルにおける顧客行動を俯瞰的に把握できる仕組みです。この仕組みで、カスタマージャーニーを可視化し、行動パターンの傾向を捉えることが可能になります。
あらゆる企業が顧客中心や顧客第一主義を掲げていますが、それを真の意味で実現するために欠かせないのは、企業全体が「顧客にとって何が最も重要か」に意識を集中させることです。
多くの企業は、カスタマーエクスペリエンスを部門ごとの視点(縦割りのアプローチ)で捉えがちです。例えば、マーケティング部門はコンバージョン率、CX 部門はネットプロモータースコア(NPS)、コンタクトセンターは初回解決率(FCR)など、それぞれ部門内の指標に最適化された改善を行っています。
しかし顧客は、コンバージョン率や FCR には関心がありません。彼らが求めているのは、自分の目的をストレスなく達成できる、シンプルでスムーズな体験です。
顧客、顧客の目的、達成手段としてのジャーニーを中心にビジネスを構築して初めて、企業は顧客の行動に対する理解を深め、多くの情報に基づいて CX 最適化に関する意思決定を下すことができます。
企業全体が認識を共有し、一枚岩となって取り組むことで、顧客が期待するシームレスで統合され、パーソナライズされた体験をより確実に提供できるようになります。
ジャーニー中心の企業を実現するには、トップダウンによる取り組みが欠かせません。リーダー層が顧客とそのジャーニーを軸に事業の優先順位と構造を再設計することが、出発点となります。経営陣がその方向性にコミットした瞬間から、本格的な取り組みが始まります。
効果的なカスタマージャーニー・マネージメント・プログラムの導入は、顧客の目標に合わせて、役割や責任を再定義することが第一歩となります。顧客にとって真に重要なジャーニーを見極め、成功指標(KPI)を明確化し、それを主要なビジネス成果と結び付ける必要があります。
データの収集から、ジャーニーマッピング、最適化までを一貫して管理できる単一のプラットフォームは、カスタマージャーニー・マネージメントの効果を最大化するうえで欠かせません。適切なプラットフォームを導入すれば、すべてのチャネルからデータを収集・統合し、AI を活用して整理・分析することが可能になります。さらに、ジャーニーを可視化し、ボトルネックや課題を特定・修正するまでのプロセスを支援してくれます。
最適化
顧客がどのようなジャーニーをたどっているのかが明らかになった今、次のステップは、それらをさらに最適化してカスタマーエクスペリエンスを一段階引き上げることです。
カスタマージャーニー・マネージメントは複雑な取り組みであり、その成果を測定することもまた容易ではありません。カスタマージャーニーのパフォーマンスは継続的に追跡・評価し、得られた知見に基づいて調整を繰り返す必要があります。一定不変なものはなく、常に見直しと改善が求められるのです。
カスタマーエクスペリエンスのエキスパートが追跡すべき KPI は数多くあります。中でも優先すべき項目を絞り込む方法として、カスタマーサービス・オペレーターに問い合わせる前の段階で顧客がどう感じているかを示す指標や、全体的な顧客満足(CSAT)度を示す指標に注目することが挙げられます。
前者に該当する例は、顧客努力目標(CES)、チャットボットなどセルフサービス・ツールの利用率、セルフサービス・ツールからカスタマーサービス・オペレーターへのエスカレーション件数などです。後者では、従来のコンタクトセンター指標の範囲を越えて、顧客行動がセルフサービスの完結率、離脱率、解約率にどのような影響を与えているかを測定することが効果的です。
CX リーダーは、カスタマージャーニー・マネージメントを活用してカスタマーエクスペリエンスを測定・監視・最適化しています。ジャーニーのパフォーマンスを継続的にモニタリングすることで、顧客ライフサイクルの中で改善が必要なジャーニーや瞬間を特定できます。さらに、各改善施策をジャーニースコアなどの CX 指標に与えるインパクトに基づいて優先順位づけすることで、効果的な改善サイクルを実現できます。
もちろん、他の取り組みと同様に、カスタマージャーニー・マネージメントのプロセスを改善していく中でもさまざまな課題に直面する可能性があります。ここでは、よくある課題とその回避方法、実際にカスタマージャーニー・マネージメントで成果を上げた企業の事例をご紹介します。
まず初めに、「カスタマージャーニー」の定義が企業内でしっかり統一されていることを確認しましょう。この言葉は広く用いられるようになったため、本来とは異なる意味で捉えられていることがあります。カスタマージャーニーとは、顧客が自らの目標を達成し、その結果として顧客と企業双方に価値をもたらす一連のステップを指します。
多くのソフトウェアベンダーやコンサルタントがさまざまな定義を提示してきましたが、カスタマージャーニーは次のようなものではありません。
さらに、カスタマージャーニーは所要時間や利用チャネル数で定義されるものではありません。それぞれのジャーニーは、顧客の目標によって大きく異なります。
次に、顧客にとって真に意味のあるジャーニーを特定します。顧客の行動はさまざまで、タッチポイント間の移動に全く同じ道筋をたどる顧客は存在しません。顧客が達成しようとしている目標を明確にし、それを自社のビジネス目標と結び付けることが重要です。
例えば、通信事業者にとって、顧客がサービスを更新・アップグレードするジャーニーは、顧客維持と顧客生涯価値(LCV)の最大化に直結する重要な要素です。また、金融機関にとっては、自動引き落としの設定を促すジャーニーが、延滞回収コストの削減に向けた重要な施策となり得ます。
顧客と企業の双方にとって意味のある目標を定めたら、その達成に向けて進捗を示す主要なステップを特定しましょう。例えば、住宅ローンのジャーニーでは、「オプションの検討」「申請の提出」「初回請求の支払い」など、いくつかの重要なマイルストーンがあります。
また、前述のとおり、成功を測るための指標(KPI)を適切に定義しておくことも非常に重要です。成功の測定は常に顧客を中心に考えることから始まります。顧客の視点で、顧客にとって目標を達成するとはどういうことかを明確にしましょう。
例えば、健康保険の加入者にとっての成功は、配偶者や新生児など新しい扶養家族が正式に保険に加入できることかもしれません。また、通信サービスの利用者にとっては、障害発生後にインターネット接続が回復することが成功の定義となる場合もあります。
そして、目標達成の基準となるシグナルや指標となる KPI を特定することが重要です。その例としては、同じ操作の繰り返し回数、放棄率、デジタルリーケージ率(本来デジタルで完結すべき顧客が他チャネルに流れてしまう割合)などが挙げられます。
まずは、顧客と自社にとっての成功とは何かを明確に定義しましょう。ここで活用できるのが、セルフサービス完結率、離脱率、解約率などの社内指標です。これらの指標は、顧客がそのジャーニーから得ようとしている価値と、それに紐づくビジネス目標の両方を捉えるための手がかりになります。また、顧客の行動を可視化し、CX 指標とビジネス成果を直接結び付ける役割も果たします。
そして、顧客の目標だけでなく、企業のビジネス成果ともカスタマージャーニーを一致させます。優先度の高いビジネス目標を特定することで、より大局的な視点から自社の成功を測定し、カスタマージャーニー・マネージメントの「あるべき姿」を明確にすることができます。
顧客の目標と、それに対して定義した成功指標を、それぞれ対応するビジネス成果とマッピングしましょう。例えば、ユーザーあたりの平均収益(ARPU)、運用資産残高、カスタマーリテンション(顧客維持)率、サービス提供コストといった主要な成果指標が、自社にとっての成功を示すものになるかもしれません。こうすることで、どのジャーニーが CX 指標だけでなく、企業全体の成果にどのような影響を与えているかが明確になります。
今や、スムーズでストレスのないジャーニーは「選ばれる理由」ではなく、「当然の期待」となっています。すべての企業が、差別化された卓越したカスタマーエクスペリエンスの提供を目指していますが、その全体像を描ききれずに苦戦しているのが実情です。
このパズルを完成させるうえで欠かせないのが、データと分析です。しかし現状、多くの企業はインサイトより多くのデータを持ち、行動より多くのインサイトを抱えている状態にあります。そこで重要になるのが、カスタマージャーニー・マネージメントというアプローチです。これを導入することで、カスタマーエクスペリエンス担当者は点在するデータ、ジャーニーの測定、最適化という要素を 1 つにつなぎ合わせ、全体最適を実現する道筋を描けるようになります。
ひと言で言えば、顧客満足の向上です。スムーズなカスタマージャーニーは、顧客が自分のニーズを満たし、目標を達成するうえで余計なストレスを感じずに済む状態を意味します。顧客満足(CSAT)度が高まれば、顧客のロイヤルティーも向上し、リピート購入につながるだけでなく、彼らがブランド支持者(エバンジェリスト)となり、周囲に推奨してくれる可能性も高まります。つまり、カスタマージャーニーを適切に管理することは、長期的に見れば製品やサービスの販売促進、さらにはビジネス全体の収益拡大へとつながるのです。
顧客の行動パターンやジャーニーに関する理解を深めるために、データの収集・分析は常に続けるべきものです。だからといって、ジャーニーマップを毎日更新しなければならないわけではありません。何日ごとに更新するかというルールを設けることではなく、収集したデータに応じて自然にマップを進化させることが重要なのです。つまり、ジャーニー分析やインサイトを活用して、最新の顧客行動に基づいた適切な判断ができるよう、マップやフローを柔軟に更新し続けられる仕組みを整えておくことがポイントです。
まず理解しておくべきことは、カスタマージャーニー・マネージメントの重要性は今後ますます高まっていくということです。顧客はすでに、管理され、パーソナライズされた体験に対する抵抗感が薄れつつあり、むしろそれを当然のものとして期待するようになっています。その期待は、ペルソナに最適化された体験ではなく、個々人にとってスムーズな体験を求める方向へと進んでいます。カスタマージャーニーを意識した取り組みを行わなければ、企業は競争を勝ち抜くことはできません。
カスタマージャーニー・マネージメント(CJM)は、規模を問わず、あらゆる企業にとって価値があります。実際、小規模ビジネスのほうが、CJM の恩恵がより大きく感じられる場面も少なくありません。顧客が満足すれば、リピートしてくれるだけでなく、その体験を周囲に伝えてくれます。さらには、スムーズなカスタマージャーニーは顧客満足を高めるための最も手軽な方法の 1 つでもあります。特に小規模ビジネスにとっては、カスタマーリテンション(顧客維持)こそが事業成長のカギです。CJM は、比較的低コストで実践できる顧客維持・獲得施策として、口コミや紹介による自然な拡大を後押ししてくれます。
自分たちのジャーニーについて最も深く理解しているのは、顧客自身です。だからこそ、その声は非常に重要です。例えば、ネットプロモータースコア(NPS)など、ジャーニーマネージメントにおいて測定すべき複数の KPI には、顧客のフィードバックが組み込まれています。さらに、顧客への調査を通じて、ブランドとのインタラクションにおいてどこに課題があるのかを明らかにできれば、自社で各チャネルから収集したデータを補完する、貴重な情報源となります。
カスタマージャーニー・マッピングを始めるためのツールをお探しですか?顧客が今、どのチャネルで自社との接点を求めているのか分からずにお困りですか?ぜひ Genesys にご相談ください。Genesys Cloud™ プラットフォームが、カスタマージャーニーの改善に向けた実用的なインサイトをご提供します。
ご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。
弊社担当より、折り返しスケジュール調整のご連絡をさせていただきます。