ビジネスにおいて KPI は目標達成を補助する重要な指標です。これはコールセンター業務においても同様で、業務に最適な KPI を設定することで、品質向上や業務効率アップ、労働環境の改善が期待できます。この記事では、コールセンターにおける KPI 管理に欠かせない 13 の重要指標を解説します。

 

目次

  1. コールセンターにおける KPI とは
  2. 項目別に紹介するコールセンターの重要指標一覧
  3.  KPI を改善させたコンタクトセンターの実例
  4. 自社にあった KPI を設定し事業推進

 

1. コールセンターにおける KPI とは

KPI は「 Key Performance Indicator 」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれています。使用目的はおもに業務の評価であり、設定した数値に対する進捗度合いから、目標の達成度を測定します。営業やマーケティングの分野でよく使用されるほか、業務改善を目的として管理部門でも用いられます。

コールセンター、あるいはコンタクトセンターにおいては、応対の品質管理や生産性、顧客満足度などの評価に利用できます。顧客応対を通じて発生するさまざまな数値をモニタリングすることで、部署の現状把握や業務改善などが期待できます。

なお、注意点として覚えておきたいのは、アウトバウンド(テレアポ)の獲得数値は営業側の KPI として扱うケースが一般的であることです。コールセンターの KPI は、あくまで業務に関する品質管理が目的と覚えておきましょう。

コールセンターで重要な品質管理

コールセンターは直接顧客と接する貴重な部署 であり、応対の品質は企業の印象に関わる重要な項目です。コールセンターの品質は、「クオリティ」と「パフォーマンス」、この2つから成り立っていると言えます。

クオリティ:顧客満足度
パフォーマンス:応対時間や時間あたりの応答件数

この両方を向上させることが、コールセンター全体の品質向上につながります。

このとき、クオリティとパフォーマンスのバランスをとることが重要です。クオリティが高くてもパフォーマンスが悪ければ業務が回らず、パフォーマンスが高くてもクオリティが低ければ顧客の扱いが粗雑な印象を与えてしまいます。

KPI 管理の重要性

コールセンター業務で重視されるのは、話し方やマインドなど、数値によらない部分も多いですが、応対結果によって発生する数値を拾っていくことで、間接的な通話品質の把握と改善が可能です。

とくに「クオリティ」は、品質が属人的になりがちです。それだけに、通話結果を数値に落とし込む仕組みが重要になります。

コールセンターにおける KPI 管理の最初の一歩は、業務に関して発生する数値を知り、意識することです。業務を数値化・定量化して、客観的に評価できる土台を構築しましょう。

 

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2. 項目別に紹介するコールセンターの重要指標一覧

コールセンター業務における KPI 指標は、大きく以下の 4 項目に分類されます。

① 応対品質に関する KPI

➁ 効率性に関する KPI

➂ 顧客満足度に関する KPI

④ 従業員パフォーマンスに関する KPI

これらの数値をまんべんなく向上させるのが理想ですが、難しい場合はまず自社における課題からスタートしてもよいでしょう。ここでは、これら 4 項目に関する 13 の指標を解説します。

① 応対品質に関する KPI

応対品質は、内容や結果以外に、かかる時間や応対できた割合などによっても左右されます。コールセンター、ひいては企業のイメージに直結する項目なので、しっかりモニタリングしたい指標です。

  • 応答率・放棄呼率: 応答率とは、顧客からの着信に応答できた割合。そして放棄呼率とは、顧客からの着信に応答できなかった「放棄呼数」の割合です。応答率が低く、放棄呼率が高い場合、オペレーターが不足していると考えられます。

応答率の求め方
応答率=対応件数÷着信件数×100

放棄呼率の求め方
放棄呼率=放棄件数÷着信件数×100

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  • SL ( サービスレベル / 設定時間内応答率) : SL ( サービスレベル ) とは、オペレーターが設定時間内に応答できた割合です。たとえば、着信から応答までの設定時間を 20 秒とし、 100 件の着信のうち 90 件を 20 秒以内に応答できたとすれば、 SL は 90% となります。 SL を求めるときに注意したいのは、応答までの時間設定を適切な値にすることです。理想値とコールセンター内のリソースのバランスから、実現可能な数値を設定しましょう。

SL の求め方
SL = 設定時間内に応答した件数÷着信件数 × 100

  • ASA ( Average Speed of Answer / 平均応答速度) : ASA ( 平均応答速度 ) とは、着信があってから応答までにかかった時間の平均値です。素早く応答できるほど、ASA の値は小さくなり、顧客満足度の向上につながります。

ASA の求め方
ASA = 着信における応答までにかかった時間の合計 ÷ 着信件数 × 100

  • FCR ( First Contact Resolution / 初回解決率 ) : FCR ( 初回解決率 ) とは、顧客からの問い合わせに対して、 1 回目の着信内で解決できた件数の割合です。たとえば、 100 件の着信のうち、 90 件を 1 回目の着信内で解決できれば、 FCR は 90% となります。

FCR の求め方
FCR = 1 回目の着信で解決できた件数÷着信件数 × 100

FCR を高めることは、顧客の満足度向上だけでなく、コールセンターのリソース節約にもつながります。また、 FCR の高さは、コールセンター内における情報共有や習熟度の高さを測る指標としても使えます。

➁ 効率性に関する KPI

コールセンターの効率性を高めることは、リソースや予算の節約につながります。効率性を高めるにはオペレーター個人の能力を上げることに加えて、効率的な業務が行える環境や情報を共有できるシステムの構築なども重要です。

  • 稼働率 : 稼働率とは、各オペレーターの労働時間のうち、顧客対応に費やした時間の割合を言います。「顧客対応に費やした時間」には、応答時間・保留時間・後処理時間・待機時間の 4 項目が含まれ、これらの数値を足して労働時間で割った値が稼働率となります。稼働率は高いほど効率が良いことを意味しますが、稼働率が高すぎるのはオペレーターが休みなく対応している状態とも言えます。

稼働率の求め方
稼働率 = 顧客対応時間 ( 応答時間 + 保留時間 + 後処理時間 + 待機時間 ) ÷ 労働時間 × 100

  • AHT ( Average Handling Time / 平均処理時間 ) : AHT ( 平均処理時間 ) とは、顧客対応1件における、通話時間と後処理時間を足した平均値のことです。この値が低いほど短時間で顧客対応が完了したことになります。ただし、なかには顧客が途中で電話を切ってしまったケースのように、解決せずに対応が終了している可能性もあります。数値の取り扱いルールを、事前に決めておきましょう。

AHT の求め方
AHT = ( 総通話時間 + 総後処理時間 ) ÷ 総処理件数

  • ATT ( Average Talk Time / 平均通話時間 ) :  ATT ( 平均通話時間 ) とは、顧客との通話にかかった時間の平均値です。 AHT と同じく、時間が短いほど効率的に対応していることになります。ただし、回線不調で通話が切れてしまったときのように、イレギュラーな要因により短時間で通話が終了するケースもあります。 AHT と同じく、数値の取り扱いルールを決めておきましょう。

ATT の求め方
ATT = 通話時間の合計 ÷ 対応件数

  • ACW ( After Call Work / 平均後処理時間 ) : ACW ( 平均後処理時間 ) とは、後処理にかかった時間の平均値です。この値が短いほど、効率的に後処理ができていることになります。通話に割ける時間が増えるため、応答品質に関する KPI 向上も期待できます。

ACW の求め方
ACW = 後処理時間の合計 ÷ 対応件数

  • CPC ( Cost Per Call / 1 コール当たりコスト ) : CPC とは、 1 コール当たりにかかったコストのことで、コスト・パー・コールとも呼ばれています。ここでいう「コスト」とは、コールセンターの総コストを指し、総コストを対応件数で割った値が CPC となります。 CPC が低いほど、少ないコストで業務を行えていることになります。この値が高すぎる場合、コスト内訳から改善点の特定と対応が求められます。月単位のように期間を決めて比較すれば、費用対効果の推移もチェックできます。

CPC の求め方
CPC = コールセンターの総コスト ÷ 対応件数

➂ 顧客満足度に関する KPI

顧客満足度の高さは、企業イメージに直結する項目です。目に見えて数値に残るものではありませんが、通話終了後にアンケートを実施することで数値化が可能となります。

  • CS ( Customer Satisfaction / 顧客満足度 ) : CS ( 顧客満足度 ) とは、顧客がどのくらい満足しているかを測る数値で、一般的なのはアンケートです。アンケート調査による数値が高いほど満足度が高いことになり、リピーター獲得にもつながります。また、アンケート結果を細かく見ていけば、自社の強みや弱みの把握もできます。別の計測方法として感情分析が存在します。顧客とのやり取りをテキスト化し、顧客の感情をポジティブ、ネガティブ、ニュートラル ( 中立 ) のいずれかに識別することで、オペレーターやコールセンター全体のパフォーマンスを分析することができます。

 

感情分析についてもっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください :
感情分析を利用して顧客満足度を向上

 

  • NPS ( Net Promoter Score / 正味推奨者比率 ) : NPS ( 正味推奨者比率 ) とは、顧客が自社の商品やサービスを、他者にどれくらいおすすめしたいかを数値化した、ロイヤルティ ( 愛着心 ) を測る指標です。集計は、 11 段階評価によるアンケートで行われます。指標の値は、おすすめしたいと考えている人がどれくらいいるかの割合で表されます。NPS を求める方法は、まず顧客に「自社の商品やサービスを、どれくらいおすすめしたいか」とアンケートを取り、 0 ~ 10 の 11 段階で評価してもらいます。回答した値によって「推奨者 ( 9・10 ) 」「中立者 ( 7・8 ) 」「批判者 ( 6 ~ 0 ) 」に顧客を区分し、全体のうち、推奨者の占める割合が NPS となります。
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④ 従業員パフォーマンスに関する KPI

コールセンターの稼働状況を高く保つには、従業員のパフォーマンスを健全に維持することが重要です。コールセンターはマンパワーによる部分が大きいため、継続的にパフォーマンスを保てる環境を構築しましょう。

  • 欠勤率: 欠勤率とは、各オペレーターの出勤予定日に対する欠勤日の割合です。たとえば、出勤予定日が 10 日、欠勤日が 2 日なら、欠勤率は 20% となります。この値は、オペレーターに加えられている身体的・心理的ストレスを把握する指標として活用できます。値が高いときや、上昇傾向にある場合は、欠勤率を上げている要因を把握し、対応する必要があります。また、この数値が高いと、連動して離職率も高くなるおそれがあります。

欠勤率の求め方
欠勤率 = 欠勤日数 ÷ 出勤予定日数 × 100

  • 離職率 : 離職率とは、一定期間内に離職したオペレーターの割合を指します。たとえば、 1 カ月の間に 100 人中 2 人のオペレーターが離職したなら、 1 カ月の離職率は 2% となります。離職率は職場環境の健全さを測る指標であり、この数値が高いほど職場環境に問題があると考えられます。

離職率の求め方
当該期間の離職者数 ÷ 当該期間の労働者数 × 100

3. KPI を改善させたコンタクトセンターの実例

ここでは、 Genesys Cloud によって実際に KPI を改善させた事例を紹介します。

Dnb

 

DMB 社は時価総額が北欧で最大規模な、ノルウェー最大の金融グループです。

音声、メール、オープンメディアによる Web フォーラム SNS など、あらゆるチャネルでサービスを提供しており、各チャネルの状況把握や一元的な管理のために Genesys Cloud を利用しています。

DMB 社は KPI 改善のために 2009 年にチャットを導入し、現在は AI とチャットボットのシステムを Genesys Cloud と連携させ、顧客サポートの向上につなげており、コールセンターへ入電があった際に、まずはボットが対応し、お客様の質問に答えられない場合はオペレーターにエスカレーションします。

ボットの導入によるコール件数の削減は、およそ 30% と見込まれておりましたが、実際はそれを上回る効果が発揮されました。

Dnb hero

DNB カスタマーエクスペリエンス ( CX ) ジャーニーに AI を融合

DNB 社は、その他の KPI に関しても同様に改善に成功しております。
詳細が知りたい方はぜひこちらをご覧ください。

 

4. 自社にあった KPI を設定し事業推進

コールセンターにおける KPI にもさまざまな指標があり、それらの重要性は企業によって異なります。

ここでポイントとなるのは、自社に合った KPI 設定をすることです。自社にとってどの項目が重視されるべきで、どの程度の改善を図りたいのかを明確にすることが、内包されている課題の解決につながります。

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カスタマーエクスペリエンス ( CX ) の現状

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