G-Summit Japan 2022 ~ Digital Empathy レポート

今年の G-Summit 2022 は 6 月 29 日、昨年に引続きオンラインで開催され、今年も多くの方にご参加頂きました。当日のアーカイブが公開されておりますので、見逃された方も是非この機会にご視聴ください。

本ブログでは、オープニング・セッションおよびメインセッション1(エクスペリエンス・オーケストレーション)について、その概要・見どころをご紹介します。

目次

  1. オープニング・セッション
    Digital Empathy ~ デジタルが生み出す共感性のある顧客体験

    • Digital Empathy とは何か:CSO インタビュー
    • 戦略アライアンス・パートナー「 AWS 」との協力関係
    • Pointillist とは ?
    • Digital Empathy 実現のために:CSO インタビュー
  2. メインセッション 1
    エクスペリエンス・オーケストレーション

    • この 1 年での CX を取り巻くトレンドの変化について
    • コロナによる在宅化や BCP によってクラウド化が進んだが、今後の IT の利活用はどうなるか
    • 個人レベルまで CX が最適化されると、どのようにエクスペリエンスが向上するのか
    • 問題解決だけではなく、ロイヤリティを高めるためにジェネシスが提供できるものは
    • 皆さんの 「推し」 ソリューションを教えてください

 

1. オープニング・セッション:Digital Empathy ~ デジタルが生み出す共感性のある顧客体験

G-Summit Japan 2022 のオープニング・セッションは、ジェネシス日本法人代表取締役社長 ポール・伊藤ポール・リッチーと Forbes JAPAN Web 編集長 谷本 有香氏のご挨拶から始まりました。今年のテーマは「Digital Empathy」。Empathy(共感)は昨年も出てきた言葉ですが、今年はこれを如何にデジタルで実現できるのかという点に焦点をあてるということです。
ポールは、「Empathy」は日本で言う「おもてなし」や「丁寧な対応」と、似ているが少し違う、と言います。ただ丁寧に対応するのではなく、データや情報から相手のことを理解して対応すること、つまり相手の立場に立って物事を考える能力であるということです。ジェネシスは AI やデジタルを使って、それを実現していくということです。ポールはこの 1 年を「お客様とともによりよい顧客体験の実現のための会話を続けて来た 1 年」だったと振り返り、ジェネシスが進めてきた Experience サービスが日本に根付いてきたことを実感できたと言います。そしてそれはジェネシス 1 社によるものではなく、多くのパートナー様との共同作業だったとの認識を示しました。

Digital Empathy とは何か:CSO インタビュー

続いて谷本氏が Genesys Chief Strategy Officer のピーター・グラフにインタビューしたビデオが紹介されました。
ビデオの中でグラフは Digital Empathy について「人間は共感という素晴らしい能力を持っており、
それは人の話を聞き(傾聴)、理解し、結果を予測して行動し、学習を積み重ねることで実現されます。オートメーションからオーケストレーションへのシフトジェネシスはこれをコード化し、ソフトウェアに組み込もうとしているのです。これには AI を使いますが、これまでのやり方とは違います。ジェネシスは、AI を用いて共感をコード化するのです。これがエクスペリエンス・オーケストレーションです。」と語りました。つづいて、これが CX(Customer Experience) にどのような影響をおよぼすのかについて、「ジェネシスが取り組んでいるExperience as a Service(EaaS) は多くのお客様に支持されていますが、これはジェネシスの顧客エンゲージメントのテクノロジーに、エクスペリエンス・オーケストレーションの機能を統合したものです。さらに、ジェネシスはこれを、CRM 、ERP 、バンキングなどのシステムと結びつけようとしています。こうすることで、お客様は EaaS を音声チャネルから始めることも、デジタルから始めることも、従業員体験(EX)から始めることもできるようになるのです。」と言及しました。
またジェネシスが昨年買収したデータ分析システムの Pointillist により、「数百万もの体験を把握し、大規模に最適化することが可能になる。」と言います。

 

戦略アライアンス・パートナー「AWS」との協力関係

ジェネシスはさまざまな企業と戦略的パートナーシップを結んでいますが、AWS CX ポートフォーリオ今回はその中でも重要なパートナーであるAWS(Amazon Web Service)様との協力関係について紹介がありました。AWS はジェネシスの競合と捉えられることもありますが、双方の長所を補完し合う存在として長年パートナーシップを結んでいます。AWS の岡崎 貴紀氏はビデオメッセージで「ジェネシスは 2015 年から AWS のパートナーであり、AWS は 2017 年にジェネシスのプリファードクラウドプロバイダーに選ばれました。コンタクトセンターのクラウド化は進んでおり、CX の向上に必要な学習やトライ&エラーもクラウドならやりやすいと考えています。AWS ではジェネシスクラウドの機能を補完し、高めるためのさまざまなサービスを用意しており、これらのサービスを単体で、あるいは組み合わせてご利用頂くことができます。AWS  とジェネシスクラウドとの組み合わせで、顧客体験を共感性のあるのものに進化させるためのお手伝いをさせて頂きたいと考えています。」とお話し頂きました。

 

Pointillistとは

ここでポールポールから、昨年買収した Pointillist についての説明がありました。すべての顧客接点を AI で監視し、カスタマージャーニーを可視化するもので、ジャーニーに何か問題が発生した場合にリアルタイムに通知し、AI が解決策を提示してくれます。これまでは、問題を把握しても解決策の策定に時間がかかっていましたが、これで CX を飛躍的に高めることができると言います。

 

Digital Empathy実現のために:CSOインタビュー

再度ピーター・グラフとのインタビューの模様が公開され、Digital Empathy の創出を山登りにたとえた話が紹介されました。「この話のポイントは、『出発点もルートも1つではない』ということです。入口は音声でも、デジタルでも、EX でも良いですし、その後もどのようなルートを通っても山頂に辿り着くことができます。そして頂に立てば、それまでとはまったく違う眺望を得ることができるのです。」

最後にポールが、「今後日本企業にとっても CX の重要性は高まって行いきます。ジェネシスはそれを達成していただくためのサポートを行って参ります。」と締めくくりました。

 

2. メインセッション1:エクスペリエンス・オーケストレーション

続いて、谷本氏とジェネシスの小畑 泰、藤田 亮輔、福井 康晃の 3 名がセッションを行いました。

 

この 1 年での CX を取り巻くトレンドの変化について

小畑 「私はお客様と CX / EX をどのように進化させていくかを検討していますが、最近は具体的な目標を立てて臨む方が増え、クラウドに移行する例が増えています。また、AI や感情分析など多様な技術が出てきており、どの段階で何を導入すれば良いか迷われる場合も多いようですので、順番を考えながら提案するようにしています。」

藤田 「私は金融業界を担当していますが、数年前まではクラウドの導入を躊躇するお客様が多かったように思います。しかし今はオンプレミスよりも強固なセキュリティや BCP が可能ということで、クラウド化を進めるケースが増えています。」

福井 「私はソリューションコンサルティングを行っています。最近ではコール以外のチャネルに興味を持つお客様が増えており、システムのリプレース時にクラウドの採用を検討することが増えている印象です。」

コロナによる在宅化や BCP によってクラウド化が進んだが、今後の IT の利活用はどうなるか

小畑 「コロナによるクラウド化の次は、エンパシーアセスメントと考えています。エンパシーの実践に関するベンチマーク共感を生むための体験をどれだけ提供できているのかをレベル 1 ~ 4 の段階で評価するものです。日本企業では 2 から 3 に移行しつつありますが、2 と 3 の間にはギャップがあり、3 に進むためにはより広範なチャネルを傾聴しなければなりません。」

福井 「チャネルを増やし、レベル 2 まではできていても、ソリューションが孤立している場合が多く、バラバラな印象を受けます。常にレベル 4 を意識して道筋を立てる人がいれば良いのですが、なかなか居ないのが現実では無いでしょうか。」

藤田 「バラバラな印象は確かにあります。それを埋めるために担当者が残業して解析などを行っている例は多いと思います。」

 

個人レベルまで CX が最適化されると、どのようにエクスペリエンスが向上するのか

藤田 「お客様の企業に対する安心感・信頼感が醸成され、結果的に共感を得ることができるようになるでしょう。これまでのコンタクトセンターは、問題を解決するためにほとんどの時間を費やしていましたが、今後はなるべく短時間で問題を解決し、残りの時間で提案や働きかけを行えるようになるでしょう。」

 

問題解決だけではなく、ロイヤリティを高めるためにジェネシスが提供できるものは

福井 「ジェネシスでは、AI を活用してお客様の共感を得るためのシナリオを作っています。ただ、ジェネシス 1 社ですべてをカバーすることはできないため、さまざまな特徴をもった AI をオーケストレーションして、シナリオを実現します。」

皆さんの 「推し」 ソリューションを教えてください

福井 「日本のコンタクトセンターが今取り組むべきなのは、デジタル &  AI だと思います。デジタルチャネルは最初からデジタルデータのため、 AI でも扱いやすいのです。」

藤田「ジェネシスでは WEM (Workforce Engagement Management) と呼んでいますが、従業員の心理面もケアすべきという考え方です。従業員がハッピーなら、お客様もハッピーになるのです。そのためのツールとして、以下の様なものがあります。」

・クオリティマネジメント:オペレータの適正な評価を行います。
・ゲーミフィケーション:オペレータのスコアをポイント化してゲーム感覚で競争してもらい、モチベーションアップや多角的な評価に役立てます。
・エージェントアシスト:通話内容を理解して回答候補を提示します。
・ラーニングモジュール:オペレータへのトレーニング割り当てやモジュール作成を管理します。
・シフト管理およびモバイルアプリ:シフト管理( WFM )をスマホアプリで行えます。

小畑 「最近買収した Pointillist に注目しています。あらゆる顧客接点データを統合・分析し、すべてをジャーニーとして繋ぎ合わせることができます。これまでのジャーニー分析は手作業で大変でしたが、それを自動化できます。」

これらのソリューションの中で、ご興味をお持ちの企業様は、是非お問い合わせ下さい。

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