「呼量」と「呼損率」とは?読み方、計算方法、一般的な目安などを紹介

「呼損率」とは顧客より電話をいただいたとき、回線に空きがなく接続できなかった確率を表しています。今回はその「呼損率」を理解する上で重要な基礎知識とコールセンターでの使用例を紹介します。

 

目次

 

呼量と呼損率とは

呼量と呼損率:参考画像

 

「呼量」と「呼損率」について解説する前に、前提知識として、各種指標の基本となる
「呼(こ)」と「保留時間」を説明します。

「呼」とは、電話の通話のことで、「呼」の回数を「呼数(こすう)」といいます。また、呼の開始から終了までの通話時間のことを「保留時間」といいます。

たとえば 1 時間に 3 回電話をかけて、 4 回電話を受け、通話時間が合計 35 分だった場合、 1 時間あたりの呼数は7回となり、保留時間の平均は 5 分になります。

以上を把握したうえで、呼量と呼損率について具体的に見ていきましょう。

呼量(アーラン)=「呼」の合計利用時間を単位時間で割ったもの

呼量とは、単位時間(測定時間)あたり、電話がどれくらいの時間使われていたかを測るための指標です。以下の式で算出され、「アーラン」という単位が用いられます。

呼量の算出式

単位時間あたりの合計保留時間÷単位時間=呼量

呼量の概念は理解しにくい部分があるため、具体的な例を見ていきましょう。たとえば、電話機 A ・ B ・ C の 3 台が設置されているコールセンターにおいて、単位時間(測定時間)1 時間あたりの呼量を求めるとします。

電話機 A ・ B・ C の 1 時間あたりの通話時間

A:50 分
B:40 分
C:60 分
合計通話時間:150 分


コールセンター全体における呼量

150 ÷ 60 = 2.5

この計算は、単位時間である 1 時間あたり、 2.5 倍の 150 分間電話をしていることを示しています。この例におけるコールセンターには、 3 台の電話機があることで、計算結果が単位時間よりも大きい結果になっています。

呼損率=「呼」が発生したときに接続が拒否される確率

「呼損率」とは、コールセンターで発生した呼のうち、応答できなかった割合です。呼損率は以下の式で求められます。

呼損率の算出式

応答できなかった呼数÷呼数=呼損率

たとえば、呼数 60 件のうち、 15 件が応答できなかった場合、呼損率は以下のようになります。
15 ÷ 60 = 0.25
呼損率:0.25

アーラン B 式と呼損率表

呼損率表(アランb方式)

 

呼損率は、回線数および呼量と相関があります。

一般的に回線数は、多くなれば呼損率が下がり、少なくなれば呼損率が上がります。また、呼量は、多くなれば呼損率は上がり、少なくなれば呼損率は下がる傾向にあります。

回線数及び呼量を踏まえて呼損率を推定する方法に「アーラン B 式」という計算式があります。ただし、アーラン B 式はかなり複雑で、実際に用いるには難易度が高いものとなっています。

そのため、次に紹介する呼損率の早見表を使用するのが一般的です。

呼損率表の早見表

呼損率の早見表とは、想定される呼損率とアーランから必要な回線数を導き出すための表です。表の横軸に想定される呼損率、縦軸に必要な回線数、縦軸と横軸の交差する箇所に想定されるアーランが記載されています。

呼損率 表

 

呼損率の早見表の使い方

  1. 目指したい呼損率を選ぶ
  2. 選んだ呼損率の列から、想定される呼量を選ぶ
  3. 選んだ想定呼量の行から、必要な回線数を確認する

例)呼量が 2 アーランあり、呼損率を 0.1 以下にするために必要な回線数を求める場合

  1. 呼損率「0.1」を選ぶ
  2. 呼損率 0.1 の列から 2 アーランを超える数値である「 2.05 」を選ぶ
  3.  3.2.05 の行の回線数を確認すると「 4 」となる

呼損率からコールセンターの適正な回線数を算出

コールセンターにおける適正な回線数が分かれば、リソースやコストの最適化が期待できます。算出には「想定呼損率」「想定呼量」「必要回線数」の 3 つの値が必要です。中でも想定呼量は、実情に即した値でないと意味がないため、慎重に決定しましょう。

ここでは、適正な回線数の算出方法を、想定呼量の算出方法から順を追って解説します。

想定呼量

想定呼量は、ピーク時の値を仮定して用います。

たとえば、ピーク時 1 時間あたりの合計保留時間が 720 分の場合、想定呼量は 720 ÷ 60 で 12 アーランになります。
想定呼量が算出できたら、呼損率の早見表にあてはめ、想定呼損率と想定呼量から必要回線数を算出します。

想定呼量算出に用いるピーク時1時間あたりの合計保留時間は、過去の通話データから平均値や中央値などを算出して利用するとよいでしょう。

必要回線数を洗い出し呼量を削減する

必要回線数が算出できたら、同時に呼量削減にも取り組みましょう。呼量が削減できれば必要回線数は減少し、リソースやコスト削減にもつながります。

呼量を削減するには、通話時間の削減が必要です。そのための方法としては、職員のスキル向上や質問のテンプレート化、Webサイト上に設置する「よくある質問 ( FAQ ) 」の整備などが考えられます。

インターネット環境の充実に伴って、 IVR(自動音声)やチャットボットを活用する事例も増えています。ツールの活用は、コールセンターの DX(デジタルトランスフォーメーション)化促進や、他部署との連携にも効果的なだけに、積極的に取り組んでいきたいところです。

呼量が減れば。呼損率削減にもつながります。さまざまな方法の中から自社に適した手法を選んで、呼量・呼損率の削減に取り組んでいきましょう。

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