カスタマーエクスペリエンスのプランニングと予算編成:2022年の支出方法

かつてないほど多くのチャネルにおいて、消費者は、より頻繁にカスタマーサービスとやり取りしています。 消費者は、共感的で迅速なやり取りと、初回解決率(FCR)を重要視しています。 2021年には、多くの企業が新型コロナウイルス感染症のパンデミックによるビジネスへの初期ショックから回復し、テクノロジーや新しい働き方に対する投資の効果を実感し始めました。 それでも、リーダーが来年に向けてカスタマーエクスペリエンス(CX)のプランニングを開始し、予算を組むとき、プレッシャーは残ります。

ジェネシスのレポート「カスタマーエクスペリエンスの状況」では、企業が現在直面している課題の上位2つを明らかにしています。それは、サービス品質を維持しながら老朽化したテクノロジーを運用し、スタッフのエンゲージメントとサービス品質を維持することです。 同時に、調査対象の CX リーダーは、データと人工知能(AI)を活用して、顧客の理解とカスタマイゼーションを図る新しい機能の構築と、リアルタイム分析、インサイト、レポート作成のためにデータ機能を強化することに注力しています。

このような状況を背景に、カスタマーエクスペリエンスのプランニングと予算作成の時期を迎えています。 調査対象となった CX 担当エグゼクティブの 70% 以上が、2021 年から2022 年にかけて予算が増加すると予測しています。予算が削減されると回答したのはわずか 18% で、横ばいとの回答は 11% です。 5 社中 1 社では 2020 年と比較して、なんと 50~100% の予算増が予測されています。 さらに、CX 担当エグゼクティブの 3 分の 2 近くが、今後 12 カ月で人員が増加するだろうと述べています。

予算はデジタルの成長に合わせて変遷

消費者は、カスタマーサービスへの連絡手段として、依然として音声を最も重要視しています。 そのため、CX リーダーは、待ち時間を短縮するセルフサービス機能の向上に投資しています。また、コールバックオプションなどのキュー内テクノロジーにも投資して、お客様が長い待ち時間を経験しないようにしています。 さらに、予測分析とオペレーター支援テクノロジーを導入して、初回解決率を向上させています。

デジタルチャネルも急速に成長しています。 レポートでは調査対象消費者の約 3 分の 2 が、企業とのやり取りに Eメールを使用し、半数近くがライブ Web チャットを使用しています。 メッセージング、モバイルアプリ、チャットボット、ソーシャルメディア、さらにはビデオ通話を利用してカスタマーサービスに問い合わせる消費者の数は、2017 年から 202 1年の間で 2 倍以上になりました。 また、過去 1 年で、世界全体の消費者の 10 人に 1 人以上が、Amazon Alexa や Google Home などのバーチャル・ホームアシスタントを利用してカスタマーサービスに問い合わせています。 ジャーニーマッピングと新しいデジタルチャネルの探索は、2022年も引き続き大きな重点分野となります。

消費者は、自分の好きなチャネルで、好きな時間に対応してもらえることを期待する一方で、初回解決率にも高い期待を寄せています。 世界中の消費者の半数以上が、サービスインタラクションで FCR を最も重視していると回答しています。一方、FCR を最優先事項とした CX リーダーは 33% にとどまります。 現在、FCR を提供することに非常に効果があるとの回答はわずか 41% でした。 その代わり、CX リーダーの半数近くは、カスタマーサービスとやり取りする際に消費者が最も価値を持つと考えているのは、オペレーターのプロ意識と親しみやすさだと述べています。 セルフサービス、対話型 AI、オペレーターへのリアルタイムサポートに関する機能を強化することにより、このギャップを埋めることができます。2022 年には重要な優先事項となるはずです。

同時に、この調査では、カスタマイゼーションに投資している企業の投資対効果(ROI)が向上していることが示されています。 消費者の約 80 %が、自分の体験を一貫してカスタマイズしてくれる企業から購入する頻度が高くなり、その企業を他の人に紹介すると回答しています。 また企業は、チャネルをまたいで顧客の理解とカスタマイゼーションを実現してくれる分析とAI機能に投資していることも調査により分かっています。

コールセンターのリソースに対するこの投資は、顧客だけでなく、オペレーターのエクスペリエンスの向上にもつながります。 企業が現在直面している主な課題のいくつかは、最前線の CX スタッフに関連しています。つまり、オペレーターのエンゲージメントとサービス品質の維持、新しいテクノロジーとプロトコルに関するスタッフのトレーニングの継続、採用とオンボーディングです。

そのため、CX リーダーは、リモートワークへの移行を実現するために、従業員のエンゲージメントとトレーニングにも投資しています。 また、データへのアクセスが容易になり、単一ユーザーインターフェイスが得られるなどのメリットがあるため、テクノロジーをクラウドに移行しています。

現在の成功事例は将来の投資に対するヒント

この調査では、CX リーダーは、コールセンターに対する最近の投資の回収について肯定的であることが分かりました。 調査対象者は、ビデオ通話、Eメール、Web チャットなどのデジタルチャネルが顧客の期待に応えていると確信しています。 また、迅速な対応を提供する能力が向上しました。

2022 年、CX リーダーはデジタル変革、パーソナライゼーション、そしてオペレーターエクスペリエンスの向上による従業員の能力向上という戦略を継続するでしょう。 来年の予算を計画する際には、顧客のチャネルに対する嗜好の変化を先取りするうえで、また、話を聞いて理解してもらい、ジャーニーの途上で随時対応してもらい、熱心な人材やクラス最高のテクノロジーにより迅速かつ効率的にサポートを受けたいという顧客のニーズを満たすうえで十分な予算を確保しているかどうかを検討してください。 大半の企業が CX や基盤となるコールセンター業務に投資しているため、投資していない企業は競争上著しく不利な立場に置かれることになります。

 

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