ジェネシスが国内 2 つ目となるフルサービスの Genesys Cloud®を AWS ⼤阪リージョンに開設

2023 年 10 月 5 日、ジェネシスは日本国内に 2 つめのサービス拠点を開設することを発表しました。これまでは AWS の東京リージョンで Genesys Cloud® の運用を行っていましたが、 2023 年内に AWS の大阪リージョンでもフルサービスの Genesys Cloud® の提供を開始します。

ジェネシスが本社を置く北米以外で、 1 つの国に 2 つのリージョンを開設するのは、日本が初めてです。これにより、国内のお客様により強固な事業継続 (Business Continuity) のための基盤を提供し、より多くのお客様に低遅延でのサービスをお届します。

本ブログでは、以下の 4 つのポイントを詳しくご紹介します。

 

1.  日本市場へのコミットメントを示す 2 つめのフルサービスリージョン
2.  西日本のユーザー様に低遅延のサービスを提供
3.  AI を活用したカスタマーエクスペリエンス・オーケストレーションを加速
4.  事業継続のための豊富なプランを提供

 

1. 日本市場へのコミットメントを示す 2 つめのフルサービスリージョン

 

「国内 2 つめのリージョン」が意味すること

クラウドサービスにおける 「リージョン」 というのは、データセンター (またはデータセンター群) が設置されている地域を指します。ジェネシスはこれまで、 AWS (Amazon Web Services) の東京リージョンで Genesys Cloud® を運用してきました。また AWS のリージョンは複数の論理的な可用性ゾーン (AZ: Availability Zone) に分割されており、各々が独立したデータセンターとして機能します。つまり、ひとつの AZ で障害が起きた場合でも、他の AZ には影響が及ばないように構成されています。
Genesys Cloud® は最低 3 つの AZ で実行されるよう設計されており、東京リージョンでも 3 つの AZ に展開されています。クラウドサービスを複数の AZ で運用することで互いにバックアップすることができ、高い可用性を生み出すことができます。実際に、過去 12 ヶ月間の Genesys Cloud® の可用性は 100% を達成しています。

パブリッククラウドをベースとしたクラウドサービスを複数のリージョンでサポートする場合、コストもかかり管理も複雑になります。世界中でビジネスを展開しているジェネシスでも、1つの国に複数のリージョンを開設していたのは北米のみでした。アメリカ以外で複数のリージョンを開設したのは日本が初めてです。
北米に比べ国土の狭い日本で 2 つのリージョンが必要なのかという議論もありましたが、災害の多い日本で事業継続性を確保しようとする場合、地理的に離れた 2 つのリージョンが相互にバックアップする体制を確保することが必要との判断に至りました。これはジェネシスの日本市場に対するコミットメントを強く示したものといえます。
日本のコンタクトセンターアプリケーション市場でシェア No1 の(IDC 調べ)の業界リーダーとして、それに見合ったインフラを整備し、日本のお客様からの高度なご要望に応え続けることが、ジェネシスの使命です。

2 つめのリージョンがフルサービスである理由

プレスリリースにもあるように、今回開設された大阪リージョンでは、フルサービスの Genesys Cloud® が実行されます。可用性ゾーンも同様に 3 つ設定されており、東京リージョンと完全に同じ機能・品質を提供します。これが 「フルサービスリージョン」 です。
災害時のバックアップや事業継続を考慮すると、どちらかのリージョンが稼働不能に陥った際にその機能を代替する必要があります。そのためには、完全に同じスペックのサービスが実行されていなければなりません。コストも管理負荷もかかるフルサービスリージョンを採用したのは、こういった理由からなのです。

2. 西日本のユーザー様に低遅延のサービスを提供

オンプレミスのシステムからクラウドへ移行することには、運用コストや固定費の削減、絶え間ない機能の改善など多くのメリットがあります。一方でデメリットの 1 つとして挙げられるのが通信の遅延 (レイテンシ) です。システムが社内ではなく遠隔地のデータセンターにあるため、どうしても通信の遅延が発生してしまい、アプリケーションによっては大きな影響が出る可能性があります。
遅延を少なくするための最善の方法は、データセンターとお客様のサービス拠点の間にある物理的な距離を縮めることです。具体的にはデータセンターを複数設置して、サービス拠点により近い方のデータセンターを使うことです。今回、東京に加えて大阪にもリージョンを開設したことで、サービス拠点に近いリージョンを選択することができるようになり、西日本のお客様にも高速なレスポンスをお約束することができます。

3. AI を活用したカスタマーエクスペリエンス・オーケストレーションを加速

ChatGPT を代表とする生成 AI は、たった1年で世界を変えてしまいました。CX/EX向けの生成AIのユースケース Genesys Cloud® も、要約・抽出・変換・生成のユースケースにおいて積極的に AI 機能の追加を行っています。そして、その動きは今後もさらに加速させていく予定です。ジェネシスでは多様な AI 機能を組み合わせて共感的でシームレス、かつパーソナライズされた顧客体験を構築するためのカスタマーエクスペリエンス・オーケストレーションを提唱しています。しかし、 AI ワークロードはデータ量が多く、CPU 負荷も高いため、通信品質や処理能力を強化していく必要があります。今回国内で 2 リージョン体制が整備されたことで、遅延の低減や負荷分散が可能になりました。これにより、将来の AI ワークロードの増加にも対応することができます。

4. 事業継続のための豊富なプランを提供

 

単一リージョンでも十分な可用性を持つ Genesys Cloud®

今回大阪リージョンに国内 2 つめのフルサービスリージョンを開設することで、 Genesys Cloud® の可用性が高まることが期待されています。これは、これまでのGenesys Cloud® の可用性が劣っていたということではありません。 Genesys Cloud® は、もともとクラス最高のアップタイムを実現するために設計、導入、運用されています。AWS東京および大阪リージョン
これまで東京リージョンで運用されていた Genesys Cloud® でも、リージョン内の 3つ の可用性ゾーン (AZ: Availability Zone) を活用し、 Active/Active/Active 構成で常に稼働しています。 Active/Active/Active 構成というのは、フルサービスの Genesys Cloud® が 3 つ、常に並行して稼働しており、うち 1 つで障害が発生した場合には残りの 2 つのうちどちらかに瞬時に切り替わります。こうすることで、中断の無いサービスを提供できます。これは、オンプレミスに 2 セットのハードウェアを置いてバックアップするよりも高い可用性を提供できることを示しています。

話が少し逸れますが、クラウドサービス自体の可用性は、実はそれほど高くはありません。Amazon EC2 の SLA では リージョンレベルで 99.99%  の稼働率を保証していますが、企業の基幹システムで使われるメインフレームの稼働率は 99.9999% 以上とも言われます。そのため、クラウド上にミッションクリティカルなシステムを構築する場合には、可用性を高めるための工夫が必要になります。その 1 つが、 Genesys Cloud® でも採用されている、マルチ AZ なのです。稼働中のシステムに何らかの不具合が生じた場合に、即座にバックアップシステムに切り替えることで、ビジネスの継続性 (Business Continuity) を担保しています。

マルチリージョンによる BCP の追求

ただし、いくら 3 つの AZ でシステムが稼働しているとはいえ、同じリージョンの AZ を使っている限り、大規模な自然災害が起こった場合はリスクが伴います。もし、リージョン (データセンター) 全体が稼働を停止してしまった場合、事業継続は不可能となってしまいます。これが、ジェネシスが大阪にまったく同じ機能を持つフルサービスリージョンを開設した大きな理由です。 2 つのリージョンの 6 つの AZ を効果的に使って BCP を考えることができるようになりました。

マルチリージョンによる BCP の追求

東日本対応のコールセンター基盤を東京で、西日本を大阪で運用することで負荷の分散を図ったり、不具合発生時に即座に切り替えてバックアップを行うこともできます。また、主組織と副組織を別々のリージョンに展開することも可能です。

ジェネシスは 「 GC Multi-Region Business Continuity Offer 」 という多様な BCP プランをご用意しています。お客様のご要望やご予算に応じたソリューションをご提案致します。詳細については、弊社担当までお問い合わせ下さい。

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