コールセンターでもCRMを活用!5つのカスタマーサービス改善手法【コールセンターマネジメントTIPS】

企業はCRMシステムを活用することで、顧客とのやりとりや関係性を管理し、効率的かつ効果的にサービスを提供できるようになります。しかし、CRMを導入したものの活用しきれていない企業は少なくなく、カスタマーサービスが最大限まで効率化されていません。そのため、CRMの活用はますます企業差別化の重要な要素になりつつあります。

ガートナーは毎年CRMソフトウェア業界の分析を行なっていますが、2018年度においては本トピックに関して興味深い結果が得られました。優れたカスタマーエクスペリエンスを実現する上での各種テクノロジーやアプリケーションの大きな増加に加えて、ガートナーは「カスタマーエクスペリエンスおよびリレーションシップマネージメント」(CERM)というカテゴリを新たに追加しました。CERMは、CRMとカスタマーエクスペリエンス業界の接点について示す指標であり、カスタマーサービス・サポートを最適化するにあたり、顧客との関わり合い全体を一箇所にまとめて表示することが必要となったのを背景として導入されました。

CRMシステムを活用してカスタマーサービスを向上させる方法として、以下5つの方法を紹介します。

1.顧客がコールセンターにアクセスする前からサポート
CRMを活用したセルフサービス

多くの顧客は、コールセンターに問い合わせを行う前にまず自ら問題解決を図ろうとします。CRM情報コンテンツを活用した顧客用セルフサービスチャネルを提供することで、顧客はオンデマンド型の回答を即座に得ることができるようになり、結果として電話をかけてエージェントとのリアルタイムチャットに時間を費やす必要がなくなります。「セルフサービス」としての問題解決には、グーグル検索、自社ウェブサイト、あるいはオートメーション化されたカスタマーサービスチャットボットなどがあります。

顧客が最初に利用する手段を把握しておくことで、企業としても積極的なサポートを行えるようになります。つまり、一般向けに公開されている情報コンテンツを、顧客がセルフサービスにおいて利用できるようなチャネルへと拡張させるということが重要です。これにより、常に利用可能なセルフサービスシステムが生まれ、コールセンターの効率性がいくつかの重要な側面から向上することになります。

セルフサービス型の情報コンテンツを提供しておくことで、パスワード再設定やアカウント検索といった単純なやりとりを削除することができ、エージェントの仕事量が無駄に増加することを防ぐことが可能となります。コールセンターに対して頻繁に寄せられる問い合わせを減少させることにより、顧客とのやりとりに際して必要となる人間のエージェントの高いコストを抑えることができるのです。従来型の音声やりとりは1回あたり平均で$15のコストがかかりますが、バーチャルエージェントを用いたやりとりでは1回あたり$1未満で済みます。

2.メール送信もサービス提供も
CRMで極限までパーソナライズして顧客にアプローチ

メールの件名に顧客の名前を入れることなどによってパーソナライズを行うことは簡単に実行でき、かつ大きな違いを生み出すことになります。Campaign Monitorによると、ディスカウントオファーが含まれたメールの開封率は72%、パーソナライズされた件名を含むメールの開封率は62%という結果となっています。

しかし、これらは序章にすぎません。真の価値は「ハイパー・パーソナライゼーション」によって生まれるのです。ここでは、CRMシステムに蓄積された顧客の興味関心や購買履歴、その他の情報に基づいて、顧客に対して極限までカスタマイズされたオファーや関連情報を提供することになります。これはよくあるアバターが「何かお手伝いできることはありますか」と尋ねるようなパターンの上をいくものであり、プロファイリング以外のさまざまな要素も含まれることになります。

たとえば「チャールズ」と「オジー」という人物たちを考えてみましょう。彼らはともに、お城に住んでおり、1948年イギリス生まれで、複数回の結婚を経験しており、成人した複数の子どもがいます。プロファイリングを用いた場合、彼ら二人はとても似ている人物であると判断され、類似のオファーやサービスの提供が行われるでしょう。しかし、顧客のこれまでの履歴およびリアルタイムにおける周辺情報を考慮することで「ハイパー・パーソナライゼーション」が施されたカスタマーサービスを提供する企業であれば、彼らの違いを把握することができます。すなわち、片方の顧客はウェールズ公としての「チャールズ王子」であり、もう一方は「暗黒の王子」を自称する「オジー・オズボーン」であると把握できるようになるのです。

3.あらゆるチャネルで一貫性あるカスタマーエクスペリエンスを提供し、
顧客もエージェントもストレスレスに

CRMシステムを改善に役立て一貫性のあるカスタマーエクスペリエンスを提供することにより、カスタマーサービス全体の質が向上します。また、顧客側もあらゆるチャンネルやデバイス上でのやりとりに一貫性を求めています。過去のやりとりが別の部署との電話であろうと、現在のやりとりがチャットなどの別のチャンネルであろうと、それが問題ではありません。顧客としては企業全体を一つの存在とみなしているのであって、個別の部署という観点からやりとりを行なっているわけではないのです。

エージェントが使用する情報コンテンツと同じコンテンツを、顧客が使用するチャネルに導入することで、各種メッセージややりとりの内容に一貫性が生まれます。顧客が最初に参照する情報源としてのセルフサービスを充実したものにすることに加え、内容に一貫性を持たせることでブランドの評判やロイヤリティ、満足度を向上させることが可能となります。これを行うための簡単かつ効果的な方法としては、各種プロセスのオートメーション化があります。

たとえば、ウェブサイト上で顧客がコンタクトフォームの入力を行なった場合に、CRMシステムから感謝メールを送信することが考えられます。メールの内容としては、顧客に対して誰かがなるべく早く返信を行う旨の記載を行います。そして、システム上から自動で、この顧客にコンタクトを取るようエージェントに対してメッセージが送信されるという流れです。これによって、顧客とのやりとりが隔離された結果一貫性のない対応となってしまうということを防ぐことができます。加えて、顧客からの連絡すべてに対して適切な対応が行えるようになります。

4.CRMで顧客理解を深め、コールセンターで関係性を強化

企業は一つひとつのやりとりを最適化し、「顧客の履歴や好みに応じてうまくやりとりを行うためのベストな方法は何か」、「ビジネスにおいて必要な結果を生み出すために最も有用なリソース(ライブエージェントまたはボット)として現在使用できるのは何か」といった問題に適切に対応できることを超えた先にある発見によって、最も多くの利益を得ることが可能となります。これによって、顧客との今後の関係性において次のステップに進むことができるようになるのです。ここでは、やりとりが行われるあらゆる場面をシームレスに統合することが必要になります。

CRMシステムをカスタマーサービスで活用していく中で、顧客一人ひとりについて可能な限り把握しておくことは重要です。ここで、リアルタイムのアナリティクスを用いることで、顧客の閲覧パターンを元に顧客が関心のあるコンテンツや製品を把握することができます。たとえば、顧客がある製品に関するファイルをダウンロードしたことが分かっている場合、ウェブページを次回訪れた際にカスタマイズしたオファーを提供することが可能となります。これによって顧客にとっての使いやすさが向上し、収益の向上にもつながっていきます。

5. これまでの企業と顧客の接点を把握し、やりとりの質を高める

セルフサービスによる解決が十分でなく、顧客がコールセンターへ問い合わせを行う必要が生じた場合、おそらく簡単に対応できるような問題に対しては顧客側で既に解決されていると考えられます。ここで、カスタマーサービス担当エージェントの裁量を広げ、より個別化・カスタマイズ化されたサポートを提供することによって、より多くの問題解決を行なったり、苦情への対応の質を向上させたりすることが可能となります。具体的には、以下のような方法があります。

顧客がセルフサービス向けのコンテンツを使用する際に、そのコンテンツの使用状況、およびそれがどの程度役立ったのかということに関するデータがCRMシステムに保存され、この情報がリアルタイムでエージェントの元に送信されます。AI駆動型のオートメーションシステムがCRMシステムに統合された場合、エージェントは顧客がとったアクションを包括的に把握することができます。

次にとるべき最適の行動をデータに基づいて提案できることによって、エージェントとしてはベストな解決法を考えるための時間を削減することができます。同時に、顧客に対して必要情報を繰り返してもらう必要もありません。その代わりに、エージェントが最も得意とする作業、つまり高品質なカスタマーエクスペリエンスを提供することにフォーカスできるようになるのです。

包括的なカスタマーサービスを実行

カスタマーサービスにCRMシステムの威力を組み合わせることで、顧客対応、社内エージェント、ビジネス全体において明確なアドバンテージを得ることができるようになります。また、ウェブサイト上における見込み顧客および既存の顧客の行動、彼らが使用するチャネル、および各種チャネルをどのように利用しているのか、を把握することで、顧客好みのサービスを実現するためのカスタマーサービス戦略を生み出すことが可能となります。

CRMソリューションとカスタマーサービスは、まさにぴったりの組み合わせといえます。いますぐ、カスタマーエクスペリエンスの変革方法について学んでいきましょう。

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