株式会社山陰合同銀行
オムニチャネルを実現できる音声基盤を獲得し、
顧客に寄り添ったサービスを効率良く提供
2024年にコンタクトセンターシステムを刷新し、10月から音声基盤としてGenesys Cloud™を導入しました。IVR(自動音声応答)や生成AIとの連携により効率化を進め、新施策の人的リソースを創出するとともに、CX(顧客体験)、EX(従業員体験)の向上も実現しています。
2024年にコンタクトセンターシステムを刷新し、10月から音声基盤としてGenesys Cloud™を導入しました。IVR(自動音声応答)や生成AIとの連携により効率化を進め、新施策の人的リソースを創出するとともに、CX(顧客体験)、EX(従業員体験)の向上も実現しています。
オムニチャネルが実現
他システムとの連携が容易で柔軟な音声基盤によりオムニチャネルが実現
ダッシュボードによるコミュニケーター管理
ダッシュボードによりコミュニケーターの管理や配置換えも可能に
IVR機能の活用で効率化
IVR機能の活用で、数名分の効率化。人員を増やさず新たな取り組みを推進
「お客様の声をもっと活用し、サービスや業務の改善につなげていきたい。Genesys Cloud は機能スペックが高いため、学びの機会を得て使いこなしていきたいです」
執行役員 ダイレクトチャネル部 部長 林 氏
株式会社山陰合同銀行様は、近年持続的な成長に向けたビジネスモデルの変革に取り組んできました。2023 年度は、2021 年度からの中期経営計画の経営目標をすべて達成し、強靭な経営体制を構築。2024 年度から新たな中期経営計画をスタートさせ、前中期経営計画で構築した個人客向けアプリや法人ポータルなどの DX 基盤をもとに、新たに DX 戦略を立案しました。その中心施策の 1 つが、オムニチャネルの推進です。
ダイレクトチャネル部 林部長は、「社会全体の方向性としてノンボイスのコミュニケーションが急増しています。20 代、30 代は74 %がオンラインでの問題解決を望んでいるという統計もあり、そういったニーズに効率良く対応できるコミュニケーション基盤が必要と考えました」と述べます。そのため、コンタクトセンターシステムは更改期限の少し前でしたが、新たなシステムの導入を検討し始めました。その目指すところを林氏は、「単純なシステム更改ではなく、非対面チャネルの強化を見据えて、各チャネルの動線をつなげ、生成 AI なども使いながら、顧客満足度、生産性、収益性、従業員満足度のすべての向上を目指しました」と語っています。
同行は IT ベンダー 6 社に対して提案を依頼。比較検討した結果、NTT 西日本グループの提案を採用しました。その中で提案された音声基盤が Genesys Cloud です。その選定理由は、CRM システムとの連携や将来的なオムニチャネルへの対応などクラウドならではの連携のしやすさ、展開の幅が見込めたからです。そしてそれを実現する上で、同時に導入した CRM システムと連携実績があったことも大きな強みでした。
ダイレクトチャネル部 兼DX推進本部 担当部長 池田 氏
新たなコンタクトセンターシステムは、複数のソリューションを組み合わせて構築。2024 年 7 月から順次リリースが始まりました。最初にスタートしたのが、FAQ の仕組みです。従来の FAQ と異なり、有人チャットへの動線を示すなど、顧客の望むスタイルでの課題解決が可能になりました。続いて 10 月、連携して利用する CRM システムと同時に Genesys Cloud の利用を開始し、オムニチャネルが実現可能な音声基盤を構築しました。
同行のコンタクトセンターは、通常インバウンド(受電)担当とアウトバウンド(架電)担当がおよそ半々で運営しています。インバウンドに関しては、従来支店への電話もすべてコンタクトセンターが集約して受け付けていました。そのため、一旦センターで受けた後支店に転送し、その後支店で担当者を探す必要があり、手間がかかるうえにお客様を長くお待たせすることにもつながっていました。今回 Genesys Cloud の IVR 機能を利用することで、支店への電話をあらかじめ振り分けられるようになり、コンタクトセンターの負荷が削減。お客様をお待たせする時間も短縮できています。その結果、約 5 人分の効率化が実現。
ダイレクトチャネル部兼 DX 推進本部 池田担当部長は、「配置を変えることで、人を増やさずデジタルバンクや地域通貨の提供、アウトバウンドの強化といった新たな施策に取り組めています」と評価しています。その 1 つアウトバウンドの強化は、個人向けの「おまとめローン」や「つみたて NISA 」の紹介や、従来リーチが不足していた小規模な法人へのセールスなどに取り組んでいます。
ダイレクトチャネル部 コンタクトセンターグループ 長岡副調査役は、「 Genesys Cloud はダッシュボードでコミュニケーターの稼働状況がよくわかるので、呼が少ない時はコミュニケーターをインバウンドからアウトバウンドに回すといったことが簡単にできます」と語っており、アウトバウンド強化の実現に貢献しています。
ダイレクトチャネル部 コンタクトセンターグループ 副調査役 長岡 氏
新たなコンタクトセンターシステムは、他にも様々な機能を提供しています。その 1 つが生成 AI による会話内容の文字起こしと要約の作成です。逐次文字にできるので、担当者が対応できない事案を上司などに引き継ぐ際の把握が容易にできたり、記録用の要約を簡単に作成できるようになりました。生成 AI による効率化も IVR 同様、約 5 人分にのぼります。長岡氏は、「記録は一から手入力していましたが、生成 AI が作った文章を確認して必要なら修正するだけになったので、コミュニケーターは喜んでいます」と評価しています。会話の記録はハッシュタグをつけて分類しており、分析して今後のマーケティング活動に活用する予定です。またアウトバウンドセールスで細かな内容を説明する際にショートメッセージを活用しています。音声だけでは話す方も聞く方も負担でしたが、後で送ったリンクから説明ページを閲覧してもらえるようになり、コミュニケーターの負担が軽減しています。
オムニチャネルプロジェクトは現在も推進中で、これからも様々な取り組みが続きます。「例えば、生成 AI を活用することで夜間や休日にお客様にサービスを提供できないか、検討を進めています。また、オンラインのコミュニケーション手段をさらに拡大し、より気軽に便利にお客様とコミュニケーションがとれる環境を整えたいと考えています」(林氏)こういった新たなサービスの展開に欠かせないのが、データです。コンタクトセンターはお客様とのコミュニケーションの記録が集まる重要な場であり、Genesys Cloud にはそのデータを蓄積することが可能です。池田氏は、「お客様の声をもっと活用し、サービスや業務の改善につなげていきたい。Genesys Cloud は機能スペックが高いため、学びの機会を得て使いこなしていきたいです」と今後の展望を語りました。