AIはカスタマーサポート領域において人間の脅威となるのか?「コボット」という考え方と未来への示唆【コールセンターマネジメントTIPS】

カスタマーサポートとAI,そして「コボット」

今日のビジネス環境においては、見込み顧客および既存顧客を、明確なカテゴリーで捉えてしまいがちであり、すべてに対して白黒をはっきりさせようとする傾向があります。ここで私が意味しているのは、見込み顧客および既存顧客は自ら問題を解決する(セルフサービス)か、サポートを受けながら問題を解決するかの2択しかないという発想で、各種プロセスやテクノロジーがしばしばデザインされるということです。

そして、カスタマーサービスあるいは顧客への販売という場面で作業を行うにあたっても、同じようなアプローチが採用されています。つまり、見込み顧客もしくは既存の顧客へのサポートは、人間のエージェントまたはオートメーション化を通じて実行されるのです。しかし、これらの境界がそれほど明確でない場合もあり、オートメーション化されたソリューションと人間のエージェントの両方を組み合わせてタスクに取り組む必要性が生じることがあります。たとえば、「オートメーション」と「人間的要素」がシームレスに組み合わさったとしたらどうでしょうか。

ここで当社が検討しているのは、人間とボットとが協働し、セルフサービス型のアプリケーションと人間のエージェントをボットがアシストするという、ミックス型アプローチです。これを、「コボット」と呼んでいます。

「コボット」という用語は、1990年代にノースウェスタン大学のJ. Edward Colgate氏とMichael Peshkin氏によって最初に考案されました。1997年に米国で申請された特許の申請書では、コボットが「人間が、コンピューターによって制御された汎用性のある遠隔操縦機と直接物理的にやりとりを行うための装置および手法」として説明されています。コボットは製造業、特に危険な環境において頻繁に用いられています。

ここで、同じアプローチを販売やカスタマーサービス部門で応用することができます。業務上での日常のやりとりを考えてみましょう。たとえば、顧客が問題解決にあたってまずオンライン上のセルフサービス用リソースを参照し、ボットによるサポートを利用し、人間のエージェントに転送されるといった流れを考えてみます。ここで、エージェントはボットを通じて関連情報やデータを把握していると想像してください。この後、必要な作業はセルフサービスを通じて完了し、その際にもボットがサポートを提供するという流れです。これは、人間とコボットとが協働して顧客およびエージェントの双方をアシストするという例です。

なお、コボットによって人間を通じたやりとりが完全に置き換えられてしまうということはありません。カスタマーサポートを行う上で、人間のエージェントが最適なリソースであるというタスクは多数存在します。これには、複雑で必ずしも予想どおりの展開とはならないタスクが考えられます。たとえば、共感や思いやりのある会話ができ、(コ)ボットが単純に作業をするだけで完結するというわけではないタスクが該当します。

 
エージェントたちもコボット活用に積極的

いくつかの研究によると、エージェントたちは一様にこの新たな展開を受け入れていることがわかります。Genesysが英国で実施した研究によると、社員の約3分の2が、職場において人工知能(AI)などのテクノロジーツールを導入することに価値を見出しています。実際、英国の社員のうち64%が、こうしたテクノロジーの活用によって生産性が向上し、その他重要なタスクに集中できると述べています。

また、エージェントたちは人工知能(AI)などのテクノロジーが近いうちに彼らにとっての脅威になるとは考えていません。59%のエージェントたちは、今後10年間においてAIやボットによって自分たちの仕事が置き換えられてしまうとは考えていません。それどころか実際は、ビジネスの成功にあたってAIを重要な要素として考えているようです。5分の1以上の社員たちは、自らの企業が今後競争性優位を保っていくにあたり、AIやボットは非常に重要であると話しています。

 
カスタマーサービスは「顧客自ら問題を解決する(セルフサービス)」か「企業側のサポートを受けながら問題を解決する」という2択のサービスではなく、最善の結果を実現する上で必要となる事柄に応じて、オートメーションおよび人間的要素をうまく組み合わせてゆくということなのです。「人間対機械」ではなく、「人間と機械」という発想です。AIとボットは、真のカスタマーエンゲージメントを実現する上でのコボットへと成長していくのです。

 

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